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闘病履歴48
説得は徒労に終わる。
機械が唸るような音がした後、全ての言葉を消去するように、黒い悪夢がゆっくりと落下し始めた。
三人共瞬時に押し黙り、固唾を飲んで、激烈な落下に備える。
オレンジの光が黒い夢を少しずつ染めて行き、それが敵を睨みつけるきつさを感じさせるのと同時に落下が始まった。
真っ暗な奈落の底への落下。
白が恐怖の金切り声を上げ、二人が交互に絶叫する。
闇の底へと真っ逆さまに墜ちて行くその落下は、筆舌に尽くし難く、真華の鼓動を止める程の恐怖感を伴っている。
落下速度が上がり、底に頭が激突して、ひしゃげ、黒い血が闇に塗れて闇そのものとなって反転、真っ白となり、砕け散った。




