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闘病履歴45
懸命の説得が続く。
暗い心を象った悪夢の中。
いつ落下が始まるか分からない恐怖におののきながらの説得が続く。
黒が言う。
「君は一人ぼっちではないんだよ。君の両親は君の誕生を心から喜び、懸命に君を育てたんだ。その行いこそが君を愛している証拠じゃないか?」
白が続く。
「そうそう。君の家にも家族のアルバムとかあるよね。その中には君が両親から愛された記憶が一杯つまっている筈なんだよ」
第三の目が機転良く説得を継続して行く。
「君の両親は君が可愛くてしょうがなかったんだよ。憎いだけで子供を育てる親はいないからね」
息をつかせず黒が続ける。
「君の両親は君の精神病を前にして戸惑い、どう対処していいのか分からないと思うんだ」」
白が言う。
「そうそう。君の両親は心の病の専門家ではないからね。君を腫れ物に触るように扱うのは仕方ない事なんだよ。私の両親もそうだったしね」




