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闘病履歴30

Mは戸惑い深くため息をついた。

投身自殺して自分が死んだ姿を見下ろし、母親が泣き叫ぶ悪夢から目覚め、Mが上体を起こし、荒くなった呼吸を調える為に何度も深呼吸した。





Mは母親の泣き叫ぶ声に戸惑いを覚えた。





両親は自分を腫れ物のように扱う。





それは得体の知れないものに恐れおののいて、刺激しないようにしている自己保身の為の動作にしか見えない。




その反応と言うか動作に愛情は無いとMは感じている。





だが悪夢の中の母親の姿は、自分が自殺したのを悼んで悲しみの叫び声を上げていた。





それはMにしてみれば極めて意外な光景だった。





自分の親子関係に愛は無いと、Mは断定していたのだ。





だからこの悪夢は、自分の中では解決済みの、自分が死んだら両親は悲しむのかという疑問符を改めて想起させ、Mを困惑させる。





自分が自殺したら、両親は厄介払い出来たとして、悲しむ事は無いだろうという、自分が決め付け、思い込んでいた目測と言うか結論が揺らぐ。





Mは目を擦り、意味もなく枕元を凝視した。




改めて親子愛とは何かという自らの問い掛けを前にして、Mは戸惑い、瞼を閉ざし、深くため息をついた。

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