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闘病履歴28

落下する悪夢が止まった。

呼びかけを無視しての落下がふと止まった。




張り付いたように静止した悪夢の中、黒が話しを継続する。





「君は一人ぼっちじゃないんだよ」





黒の言葉に追随して白が言う。





「そうそう、私も前は同じだったもの」





悪夢を静止させたまま生き霊は二人の話しに耳を傾けているのが明瞭に分かる。




掴んだチャンスを逃さないように黒が続ける。





「中学の時、僕もキモいと言われて集団で虐められ、鬱状態になっちゃって、自殺を考えたのだけれども、僕の場合は母さんに助けられたんだよ」




静止画像が少しだけぶれるように上昇した。




黒が続ける。





「人見知りで目立つのが嫌いだった僕は学校で虐められている事実を、両親にも言わなかったんだよ。でも母さんは僕の細かい異変に気が付き、僕が平静を装いつつも自分の殻に閉じこもり、自殺を考えているのを見抜いたんだ。そして母さんは僕から虐めの事実を聞き出し、孤軍奮闘、教育委員会に掛け合い、学校に怒鳴り込んで、虐めた連中に謝罪させてから、有無を言わせず僕を転校させたんだ」




間髪を入れず白が続ける。





「あの時私は両親に愛されていると初めて感じたの。私は生まれた時から自己同一性障害だったし、口べたで、人とのコミュニケも上手く取れなかったから、皆から異端者扱いされて、自分が愛されていないといつも感じていたのよ。でも私はあの時両親に愛されているというのを初めて知り、生きる勇気が湧いたのよ」




黒が語り掛ける声に力を込める。






「君は一人ぼっちじゃないんだよ。こんなふうに自殺なんかしたら両親が悲しむんだよ」




もう一度静止画像が僅かに上昇し、反動をつけるようにそのまま急降下した。





白が金切り声を上げ、その声に突き上げられるように真華は目を覚ました。

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