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闘病履歴229

第三の目は水に溺れ消滅した。

白が啜り泣いている。




霊道を歩く第三の目の耳にはその声が明瞭に聞こえる。





実際問題、その声は第三の目の耳にしか届いてはおらず、第三の目の耳鳴りのごとし現象なのだが、第三の目はそうは思っていない。




その啜り泣きに呼ばれて、第三の目は靄がかった霊道を歩いて行く。




第三の目の頭には白を助ける事しか無い。





迷子になり、すすり泣いている白を一刻も早く見付け出し、連れ戻す事しかない。




白を見付け出せば、おのずと黒にも辿り着くと第三の目は思っている。





啜り泣きの強弱に合わせて、第三の目は移動し、四つ角の手前にある水溜まりを発見した。





薄く氷が張っている水溜まり。





第三の目はうづくまり、耳を澄ました。






白の啜り泣きはその水溜まりの中から聞こえて来る。





白はこの水溜まりに落ち、助けを求めているのだと思い、第三の目は躊躇する事なく、片足で薄氷を蹴破った。




その刹那、足を取られ第三の目は水溜まりに落ちた。





水溜まりは限りなく深く、纏わり付く水が第三の目を引きずり込んで行き、目を見開き足掻き苦しむ第三の目を、たやすく溺れさせ、消しさって行った。

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