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闘病履歴225

黒は身体が消滅して行くのを凝視し、独り寂しく、泣き笑いした。

白の姿を追い求めて霊道に出たが、霊道はうそ寒い位に静まり返っており、心細さが募るのを黒は感じた。





身震いしながら白の行方を捜し回っている内に、聞き覚えのある遠吠えが耳についた。





生き霊の遠吠えだ。





その遠吠えに呼応する子供の死に神の遠吠えはなく、それが恐怖心をそそり、黒は膝がわななく程震え出した。




震えたまま歩けなくなってしまい、黒はうずくまり独り狂ったように笑った。





独りぼっちで、寂しさを紛らわすために、わななく膝を踏ん張り、立ち上がって、中腰になり笑い続ける黒。





やがて生き霊の遠吠えも聞こえなくなり、霊道に酷薄とも言える静寂が訪れた。





狂ったように笑いながら黒は歩けなくなった足元を凝視する。





視界を遮る緑がかった靄で、足元が見えない。





黒は涙ぐみ、その見えない足元をもう一度動かそうとするが出来ない。




まるで緑がかった靄にわしづかみにされているかのように動かない。




そして黒は気がついた。





足元は見えなくなっているのではなく、消えてなくっている事に。





緑がかった靄が身体を音もなく消して行く。




消滅させている。





黒は目を見開き、膝の下の感覚が失せた事をまるで悦ぶかのように独り泣き笑いした。

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