闘病履歴219
気が狂いそうと、白が喚く。
悶絶している筈の猫の霊魂も姿を消しており、霊道は不気味な沈黙に包まれている。
黒と白は真華の領域に戻り、真華をガードする態勢を強化して、生き霊は司令塔の役割を担いつつ、犬の姿のまま小康状態を維持しているMを護るべく備えた。
真華も鈴の音を待望する言動を繰り返し、死に神が憑依している気配は微塵も無い。
そんな良好な流れが不気味さを助長させ、分身達の恐怖心を益々煽る。
白が言う。
「マカロンには絶対に死に神が憑依しているよ。見事に芝居をして私達を騙しているんだよ。このまま鈴の音に辿りつく事なんか絶対に有り得ないし、どうしたらいいのさ?」
黒が困惑する。
「俺にそんな事言うなよ。俺だってどうしたらいいのか分からないんだし」
第三の目がいみじくも言う。
「とにかくここは落ち着いて、生き霊の言う通りマカロンの意識を従来通りキープして、霊道には出ないようにしよう」
白が震えを抑えながら言う。
「何か前とは雰囲気が違うし、あの生き霊は死に神なんじゃないの、違うかしら?!」
黒が同調する。
「俺もそう思う。何か前とは雰囲気が違うしな」
第三の目が言う。
「落ち着け。不安がったら、相手の思う壷だ」
白が喚く。
「こんな不気味な状況で落ち着いてなんかいられないわよ、気が狂いそうなんだから!」




