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闘病履歴216

マカロンさんの背中を一度叩いて下さいと、霊媒師は言った。

夢の中で、台の上に横一列に並べられた不揃いのサイコロが、周囲を取り巻く赤い空間から吹いて来る風に押されて、転がり、音もなく、さいの目を変えて行く。





赤い風がサイコロをくすぐり、サイコロがそれを身をよじって喜んでいるのに、何故か横一列の配列は微動だにせず変わらない、不条理で現実離れした光景はどこか郷愁をそそるものがある。





サイコロの数は三個。




そのさいの目が風の戯れに不意にピンゾロになったところで、霊媒師は瞼を開き、目を覚ました。





目覚めを良くする為にドレッサーの処まで覚束ない足取りで行き、顔を洗ってから、電話を手にしてダイヤルをする。





相手は拓郎君だ。




拓郎君が出たところで霊媒師は直ぐに用件を切り出した。





「明日の朝、マカロンさんの処に行き、玄関に入る前に三度唾を吐き、そして眠っているであろうマカロンさんの背中を一度叩いて下さい」





拓郎君が尋ねる。





「マカロンは、その時眠っているのですか?」





霊媒師が答える。





「眠っています。その時必ず一度だけ背中を叩いて下さい」





拓郎君が再度質問する。





「玄関に入る前に、唾を三度吐くのですね?」





霊媒師が答える。





「そうです。三度吐いて下さい。お願いします」

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