闘病履歴212
とにかく全身全霊を以って護るしかないじゃないかと、黒は叫んだ。
緊迫した空気を押し戻すように黒が言う。
「これは陽動作戦なんだ!」
震えを抑えつつ、白が尋ねる。
「陽動作戦と言うと?」
黒が己の動揺を解くように深呼吸してから言った。
「生き霊は己一身に猫の霊魂と、子供の死に神の注意を引き付け、我々に二人の女の子を護れと訴えているんだ」
第三の目が尋ねる。
「どうやって?」
矢継ぎ早に黒が思い付いた戦術を口にして行く。
「二手に分かれよう。マカロンの処に一人。そして彼女の処に二人を遣わす陣形を取ろう」
白が黒の提案した戦術に対する疑問点を口にする。
「二人彼女の処に移動すると言ったって、生き霊の先導無しには私達は霊道を歩く事すらままならないじゃない。それはどうするの?」
間髪を入れず黒が即答する。
「やるっきゃないんだ。行って彼女を護るしかないじゃないか!」
第三の目が相槌を打った後言った。
「それは分かるが、しかし護るにしても、他の死に神達の注意は二人の女の子に向いている筈だし、多勢に無勢どうやって護るんだ?」
黒が気合いを込めて言い切る。
「とにかく全身全霊護り通す。それしかないじゃないか!」




