闘病履歴200
お前ら死に神は鈴の音を恐れているのだろう、違うのかと、第三の目は言った。
色めき立っている分身達の耳に子供の霊魂の声が届いた。
「今、四つ角で封じ込まれそうになっている生き霊を助けてやったよ。あの生き霊にはまだまだ遠吠えをして貰わないといけないから、消滅されても困るしね」
黒がいきり立ち喚いた。
「封じ込めようとしたのはお前の仲間だろう。何人事のように言っているんだ!」
子供の霊魂が答える。
「いや、違うよ。封じ込めようとしたのは君達がマカロンと呼んでいるこの彼女じゃないか」
白が苛立つ。
「だからそれはマカロンに憑依している死に神じゃないの。断じてマカロンなんかじゃないわよ!」
子供の霊魂がけたたましく笑い言った。
「だから、僕の分身たる死に神がマカロンだと最前言ったじゃないか。マカロンたる死に神が仲間である生き霊を封じ込めたのさ。それが言わば鈴の音に近寄る早道なのをマカロンは知っているのさ」
第三の声が言った。
「今、鈴の音と言ったな。お前はやはり鈴の音の事を知っているんだな?」
子供の霊魂が否定する。
「いや、聞き違いだね。僕は新たなる遠吠えと言ったのさ。マカロンたる死に神は新たなる遠吠えを作り出す為に仲間を封じ込めようとしたのさ」
白が喚く。
「死に神の分身はあなたでしょう。あなたが封じ込めて、生き霊を消滅させようとしたのでしょう?!」
子供の霊魂が答えた。
「自分で封じ込めようとしているのに、自分で助ける馬鹿な死に神はいないと思うけれどもな」
黒が突っ込む。
「ごまかすな。ならば何故マカロンが仲間を殺す理由があるんだ。言ってみろ?!」
子供の霊魂が笑い答えた。
「だから新たなる遠吠えの創成をして、マカロンというこの子は寂しさから逃れる為に自殺願望を強めたのさ」
第三の声が怒鳴った。
「出鱈目な事を言うな。お前ら死に神は鈴の音を恐れているんだ。違うのか?!」
子供の霊魂が笑いとぼけた。
「何の話しをしているか、さっぱり分からないよ」




