闘病履歴20
Mは泣き笑いの表情を作り、自らを嘲笑った。
いつの間にか物を食べている。
これも病気だというのは分かってはいるのだが、食べるのを止められない。
両親は腫れ物を触るように自分を扱う。
そんな両親とも心は繋がっていないとMは感じている。
一人ぼっちで、疎外されている実感だけがいつもある。
生きる価値が無い存在。
それが自分だとMは考えている。
精神障害を苦しむ為に自分は生まれたのだろうかと、Mは自問自答する。
答えはイエス。
死ぬ為に生まれたのならば、生きる事に何の意味があるのかと、Mは考える。
こうして食べ醜く太り、益々社会から疎外される為に自分は生きているのか?
食べるのを止め、Mは自分を嘲笑う。
劣等感と自己嫌悪しかない。
死のイメージをMは想起する。
予告も無しに自分の肉体から離脱して行く黒い存在。
その黒いイメージこそが死を象徴するイメージならば。
勝手に動き回るあの黒い存在は、自分の死に場所を探しているのだろうか?
答えはノー。
あの黒い存在は醜い自分を忌み嫌い、出て行っているに過ぎないとMは考える。
自分が死んだら、あの黒い存在はどうなるのだろうと考え。
Mは泣き笑いの表情を作り、再び自らを嘲笑った。




