闘病履歴196
真華の心は絶望色一色に染まり、固く閉じてしまっている。
黒が言う。
」マカロン、元気出してよ」
白が続く。
-そうよ、そうよ、マカロンが元気出してくれないと、こちらまで気が滅入って来るじゃない」
第三の目が一緒になって励ましの言葉を贈る。
「マカロン、僕達は家族じゃないか。家族の一人がおかしくなったら他の家族も皆おかしくなってしまうんだよ。だからマカロン、以前のように又元気出してよ、マカロン?」
生き霊が現状報告をして、それを励ましと成して行く。
「マカロン…マカロンが死に神に負けている状態だと…彼女の自殺願望も…強まって…しまうんだよ…だからマカロン…死に神になんか負けないで…元気出して…くれないか…マカロン?」
以前の真華ならば、分身達のこのような呼びかけに、強がりを以って応えたのだが、絶望の淵にある真華の心は悲しみだけを湛え一切反応しない。
だが分身達はここで引かない。執念を以って呼びかけて行く。
「マカロン、応えてよ、僕達は仲間じゃないか?」
「マカロン?」
「皆心配しているんだよ、マカロン?」
白、黒、第三の目の順で呼びかけた後、生き霊が真華に取り憑いた死に神に呼びかける。
「死に神よ…遠吠えにより…もう十分殺したではないか…この上マカロンを殺す…必要…は無いだろう…死に神よ?」
絶望の淵で真華の心は絶望色一色に染まり、完全に死に体となっていて、その心の触手を死に神がまさぐるように、死へと誘っている、そんな状態が続いている。




