闘病履歴193
白が触れてはならないタブーに触れそうになる。
白が言う。
「優しさではなく、言わば冷たさが彼女を救っているのね?」
生き霊が答える。
「そう…だ」
真華の無意識の領域の内側で、触れてはいけないタブーに触れそうなぎりぎりの言葉を白が言う。
「彼女と同じようにマカロンにも冷たさが必要なのかしら?」
その項目に突っ込んだ話しを持ち掛ければ、明らかに真華には悲しみが必要なのだというタブーに触れてしまいそうなのを、黒が話しを逸らす事に依って免れる。
「そんな事よりも、遠吠えのパターンを変えた事が彼女の自殺願望を強めているのならば、遠吠えのパターンを変えるのを止めたらどうかな?」
第三の目が言う。
「でも子供の死に神は、そんな事は一切言っていないじゃないか。遠吠えを止めたら、彼女もマカロンも殺すとは言ったけれど」
黒が反論する。
「あの子供は所詮死に神なのさ。自分の寂しさを紛らわす為に遊戯で人を殺しまくる輩なのだから、最後には容赦なく皆殺しにするつもりでいるんだよ、きっと」
第三の目が黒に尋ねる。
「それじゃ、遠吠えのパターンを変える作業は中断するの?」
黒が答えあぐねる。
「いや、それは代わりの打開策が無いのだから、何とも言えないけれど…」




