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闘病履歴191
死に神に人を生かす役割は無い?
分身達の苦悩が深まって行く。
黒が言う。
「いずれにしろバリエーションを変えたって、遠吠えは大量の人間を殺す事には変わりないし、人間を生かす意味合いは鈴の音にだけにあるんじゃないのか?」
白が言う。
「でも子供の死に神はマカロンを助ける吠え方もあると言ったじゃない?」
黒が反論する。
「あんな言葉何処まで本当で、何処まで嘘なのか分からないじゃないか。いずれにしてもあの子供の霊魂は死に神には違いないからね。人の命を助ける役割は無いという事じゃないのかな」
第三の目が歎く。
「こんな風に人の夢に入り、夢を操作する行いは、罰当たりなのかな?」
白が言う。
「人助けじゃない。それの何処が悪いのさ?」
第三の目が答える。
「いや、いくら人助けとは言え、冥界の掟を冒してしまったから、罰が当たったという事を言っているんだよ」
黒が二人の中に入る。
「歎いていたって何も始まらないし。それよりも、どうするんだ、吠え方のバリエーションは変えて行くのか?」
生き霊が自分の意見を述べる。
「この状況じゃ…打開策は無いのだし…続行する…しか無いじゃないか」




