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闘病履歴177
情け無用だと拓郎君は念じた。
真華の苦悩、悲しみが深まるのを、じっと見詰めるのは辛い事だと拓郎君は思う。
無理をしている真華の心根を、その苦悩を拭ってやりたい衝動にかられる。
「マカロン、マカロンの悲しみが深まる事は不要なんだよ。マカロンの強がり通り気持ちを強く持たないと駄目なんだよ」
と言う言葉を言いたくなるのは人情であると拓郎君は思う。
だがこの言葉は金輪際言ってはならないタブーなのだ。
そう拓郎君は自分に言い聞かせる。
情け無用。
真華の悲しみが深まるのを、突き放すように見守るのは、非情なる所作だと拓郎君は思う。
だが非情である事がここでは要求されているのだ。
非情さを以って鈴の音に辿り着くのが最重要項目ならば、その要求には従うしかないと拓郎君はそう思った。




