闘病履歴172
マカロンが破滅したら、僕達分身も破滅するじゃないかと、黒は叫んだ。
Mの苦悩を全部引き受けるように真華の心を鬱病が捕らえて、がんじがらめにする。
自分に嘘をつき、したたかに振る舞えば振る舞う程に真華の病状は悪化して行く。
真華の重くなって行く病状を分身達が心配して、各々感情的な意見がぶつかり合い、火花を散らす。
黒が主張する。
「遠吠えを止めて、子供の霊魂にマカロンだけの助命嘆願をすると言う案はどうだろう?」
白が反対する。
「そんなの虫が良すぎる話しじゃない。第一子供の死に神は自分を犠牲にしてまで助命なんか絶対にしないわ。そんなの自明の理じゃないの?!」
黒が言う。
「それはそうだけれども、このまま推移して行ったら、彼女は救出出来るかもしれないが、マカロンの心は完全に死に絶え、命を脅かされる事になるじゃないか?!」
第三の目が加わる。
「自分の心が壊れるのを覚悟でマカロンは号令をかけているのだし、その命令に反してマカロンを心配する事は逆の意味でマカロンを追い詰め、病を重くする行いだと思うけれど、どうだろう?」
黒が顔をしかめて言う。
「だがマカロンが苦しみ、やつれて行くのを見るのは忍びないじゃないか」
白が真っ向反対する。
「その深い苦悩を理解し、地獄の底まで付き合ってやるのが私達分身の役目じゃない」
黒が大声を張り上げる。
「だが、マカロンが破滅したら、僕達分身も破滅じゃないか。生き霊さん、あなたはどう思いますか?!」
促され、生き霊が答える。
「私は…当初の目的通り…二人とも救いたい…それだけだ」




