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闘病履歴170

情けない自分の無力さに真華はひたすらむせび泣く。

拓郎君がいなくなった自分の部屋。





押し寄せる悲しみに、真華は大粒の涙を流し泣き崩れた。





幼い女子児童よりも自分の命が尊いとは思えない。





むしろ逆だと思う。





幼い命を護る為ならば、進んで身を捧げるべきなのだ。





幼く尊い命に比べれば、自分の命などその程度のものだと真華は思う。




だが自分の命は畢竟Mの命なのだ。





護るべき命を護り通す為に、尊く幼い命が失われた。





それは取りも直さず、己の守護する力が脆弱である事を如実に顕している。




それが悔しくて堪らず真華はむせび泣く。





己の運命を呪っても、失われた尊い命は戻って来ない。



涙を拭い真華は考える。





子供の霊魂が口走り、即座に打ち消した鈴の音の謎。





何故打ち消す必要があったのか、そこを糸口にすれば突破口は見出だせるかもしれない。




だが冥界の法則性にがんじがらめにされ、大いなる意思が生殺与奪権をも、独り占めしている状況の中では余りにも自分は無力でしかない。





鈴の音の糸口を探る為に少しでもおかしな動きをすれば、冥界の掟は自分の命を奪うに違い無い。





自分は囚われの身、篭の鳥であり、偽善者ぶり、いくら善人の装いをしていても、子供の霊魂はその門番に過ぎないのだ。





つくづく情けない境涯だと思う。





泣いたとて、失われた命は金輪際戻っては来ないが、真華は溢れる熱い涙を流すままにひたすらむせび泣いた。


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