闘病履歴169
真華がここまで来たら後戻りは利かないし、やるっきゃないじゃないと、強く主張した。
真華が強く主張する。
「彼女も順調に回復しているし、悪霊の邪魔も入らないし、第一止めたら猫の霊の封印も解かれて、私も彼女も殺されてしまうのよ。だからもう後戻りは利かないのよ。やり抜くしかないと私は思うね」
拓郎君が深呼吸してから言った。
「しかし余りにも多くの犠牲者が出ているのも確かじゃないか?」
真華が突き放すように言う。
「それは寿命とか来た赤の他人だし、今回の女の子惨殺と遠吠えは時間差から鑑みて、明らかに無関係だしね。はっきりと言えば、自分や親しい者が生きる為ならば、赤の他人が犠牲になったって仕方ないじゃないか。自分の命の方が大切なのだし。そしてもう一つ言わせてもらえば、あの子供の死に神は鈴の音の事を口に出したんだ。それは取りも直さず遠吠えを繰り返していれば、鈴の音に辿り着く伏線じゃない。違うかしら?」
拓郎君が息をついてから尋ねる。
「遠吠えと鈴の音がどうやって結び付くんだい?」
ヒステリックな感じで真華が断言する。
「そんなの分からないよ。でももう後戻りは利かないんだし、やるっきゃないじゃない!」




