闘病履歴168
順調にMの病状が回復する中、女子児童が誘拐され、惨殺された。
遠吠えを繰り返し、一行がMの心にダイブして、夢見を操作し、Mの心を明るい方向へと導く作業が、悪霊の邪魔も一切入らずにはかどって行く。
遠吠えをする度に、子供の霊魂は死んだ人間の数を口に出し、その数が千人に及んだ時、世間を震撼させる事件が起きた。
女子児童が誘拐されたのだ。
その報道を目の当たりにして真華が戦慄する。
戦々恐々としつつ、一行は霊道の行き来を控え、固唾を飲む形で待機する中、女子児童は弄ばれ惨殺された。
悲嘆に暮れながらも、その情けをバネに一行はMの病回復を期し、遠吠えを再開した。
つつがなく遠吠えの儀式が終わり、Mの無意識に憑依して来た子供の霊魂に黒が尋ねる。
「今回の児童惨殺事件と、僕達の遠吠えは無関係だよね?」
子供の霊魂が答える。
「さあそれは僕には分からないね。遠吠えを聞き付けて殺す殺さないは、各死に神の判断に委ねられているし。僕にはそれを調べる権限は無いしね。遠吠えとの関連性はあるとも言えるし、無いとも言えるね。でも例えば関連性が立証されても、君達は目標達成の為に遠吠えを止める事は出来ないでしょう。どうなの?」
白が答える。
「帰って皆で相談してみます。だから帰路では一度遠吠えは控えますが、配慮の程よろしくお願いします」
子供の霊魂が答えた。
「いいよ。でも早めに再開してよ。待っているからさ、よろしくね」




