闘病履歴162
大いなる意思の司る悪魔的な法則性に則って、彼女を救う所業が、善なのかの選択を迫られる?
霊媒師が言う。
「ここでは大いなる意思の慈悲の問題について議論しても不毛だと私は思います。ただ私達の現在置かれている立場を鮮明にして、その状況を分析し、より良い道を探り、鈴の音に辿り着き、彼女やマカロンさんを救うのが私達全員の総意、言わば慈悲の顕在化だと思いますが、どうでしょうか?」
拓郎君が答える。
「それは分かりますが、現状四面楚歌の状況ではより良い打開策というものは無く、彼女やマカロンを救う為には、遠吠えを繰り返し、大勢の人間、幼い子供達さえも殺すしか手立ては有りませんよね。それが我々の慈愛と言うか鈴の音に辿り着く、言わば禊ぎなのでしょうか。それは自分には悪魔の魂の売り買い、最も残忍なる所業のように思えますが、どうでしょうか?」
深謀遠慮する間を置いてから、霊媒師が答えた。
「それがどんなに残忍なる悪魔の所業に思えても、今私達に出来る事は大いなる意思の司るであろう法則性に則って、我々の慈悲たる鈴の音に辿り着き、彼女やマカロンさんを救出するしかないと私は思います」




