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闘病履歴161
極限の啓示的慈愛の思弁も人間の身勝手な可能性論なのか?
沈黙した後、霊媒師がが答える。
「突き放した言い方をすれば、その問題は大いなる意思の全宇宙的な、気の遠くなるような包括的慈悲、神秘のベールの問題に触れる話しであり、一人間存在としての私には的を射た解答を出す事は不可能ですね。ただ人間が作り出した善悪の価値観や、諸々の根元的な思弁も、包括的な慈悲を司る大いなる意思の前には全て色褪せ、単なる可能性論に堕落してしまう事は確かだと私は思います。そしてもう一つ言えば全宇宙的な包括した慈悲を司る大いなる意思の存在があるかどうかという問題さえ、単なる可能性でしか無いと私は思いますが、どうでしょうか?」
拓郎君が語気を強め主張する。
「悪対善の戦い。その苛烈な戦いに於いての善が悪であり、悪が善であるという人間存在の極限的状況、地獄が天国へと擦り変わり、逆も真の状況が、大いなる意思の啓示ではないと言う事ですか?」
霊媒師が答える。
「そんな極限的な啓示的思弁も大いなる意思の神秘のベールの前には無力、可能性論でしかないと私は思います」




