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闘病履歴150

笑っちゃうねと、子供の霊魂は言った。

倦怠感を湛えながら、子供の霊魂は続ける。




「真っ黒い笑いで象られた棺桶の祈りこそが救いなのさ。踊るしゃれこうべの道標を暴走する呪いのたぎる血が海に注ぎ、完成された呪いは死のブレイクダンスを波の上で踊るのが僕の遠吠えであり、その遠吠えを巡る血管は叫びを上げているんだよ。雨の雫の中にある黒い血管こそが救いの十字架であり、その十字架が溶けてマンホールの下を流れる死の濁流は、白い残忍なベッドの上に乗り上げて、白い死をしとねにして眠るんだよ。それが僕の流した十字架の涙の跡なのを、大人達は誰も知らないのさ。だから殺すんだよ。白いだけのこのしゃれこうべの手で殺すんだよ。残忍にね。この気持ち君らに分かるかい?」




白が言う。





「笑っているけれど、君の笑いからは悲しみだけが、どうしようもなく伝わって来るよ」





子供の霊魂が笑った。





「だから僕は僕を助けてくれなかった大人達を殺して、それを喜びとしているのさ。だから僕はおかしくておかしくて仕方ないのだよ。残忍に子供を殺す大人には死の叫びを顕す権利なんか無いのさ。笑いしか無いのさ。違うかな?」




白が言う。





「悲しいだけじゃないか」





子供の霊魂が甲高い声で再び笑い言った。





「僕の呪いは丁寧に包装された夜景を彩るイルミネーションの芸術なんだよ。皆温かい眼差しでイルミネーションを見詰めるその視線こそが僕の孤独なのさ。そして僕はその孤独の包装を解き、温かい温もりに死を注いでやるのさ。不幸と言う名のプレゼントこそが、大人の身勝手な絆を潰す最良の死のプレゼントなんだよ。笑っちゃうね、本当におかしくて、おかしくて仕方ないよ」



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