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闘病履歴146
自分の快楽の為に人を殺すのが正義なのか?
生き霊が歎く。
「ちょっと…待ってくれ…それでは…私が出す…遠吠えが…全く見ず知らずの者達を…殺す…結果…になって…いるのか?」
子供の霊魂が答える。
「理屈ではそうなるね。でもいいじゃないか。君達はそれで猫の霊に襲われずに済むし。僕は遠吠えの真似をして寂しくなくなるし。どうせ死んで行くのは因果応報ろくでもない大人達なのだから」
生き霊が歎く。
「いや…私は…自分を護る為とは言え…自分の仕業で…大勢の人間…が死ぬ…のは嫌なのだが」
子供の霊魂が声を荒げる。
「でも遠吠えは止めちゃ駄目だよ。僕の楽しみがなくなっちゃうしね。もし君が遠吠えを止めたら、猫の霊の封印は解くし、君達が護っている二人の女の子も殺すからね。まあそんなに歎かずに、所詮人間社会なんかそんなものじゃないか。自分の利益、快楽の為ならば、人は死んでもいいんだよ。それは正義と言う名の美徳になるじゃないか。そしてその死を皆楽しんでいるのが良識ある大人社会なのだし。僕もそうやって残忍に殺されたんだし。殺人遊戯を大いに愉しもうよ。そう思わない?」




