闘病履歴144
皆愉しんで、犬の遠吠えを真似しているのさと、子供の霊魂は言った。
生き霊と分身がMの無意識から離脱して霊道に入り、生き霊が犬に変化し無意味とも言える遠吠えを繰り返した。
それを聞き付け子供の霊魂が拍手する。
「凄い凄い。僕の仲間が一杯集まって来るよ。有り難う」
Mの無意識に引き換えし、第三の声が首を傾げ不審がる。
「えっ、君はひとりぼっちでは無いのかい?」
子供の霊魂が答える。
「僕はひとりぼっちだよ。でも君と同じように僕には寂しい分身が沢山いるんだよ。僕の分身はあっちこちで色んな人達と遊戯しているんだよ。でもさっきの遠吠えを聞いて、遊び心をくすぐられ皆一同に会すると思うんだよ」
黒が尋ねる。
「遊戯って、何の遊戯なのかな?」
子供の霊魂が答える。
「まあ所謂殺人遊戯の場合もあるけれどもね。皆愉しく遊んでいるみたいだよ」
白が言う。
「殺人は遊戯では無いと思うけれども?」
子供の霊魂が笑った。
「まあ固い事言わないでさ。ほら皆集まって来たじゃない」
四方八方から犬の遠吠えが上がり、その声が輪を縮めるようにMの無意識目掛けて近寄って来る。
子供の霊魂が言う。
「皆愉しんで、犬の遠吠えを真似しているのさ」




