141/232
闘病履歴141
四ツ角に封じ込める夢見術とは?
拓郎君が尋ねる。
「この試練を乗り越えないと、鈴の音には辿り着かないのですか?」
霊媒師が肯定した。
「そうなると思います。この試練を耐え抜かなければ鈴の音はおろか、皆、その子に取り殺されてしまうわけです」
拓君郎が訝る。
「彼女やマカロンは人間ですから、取り殺されると言うのは頷けますが、生き霊や分身達には死という概念はありませんよね。取り殺されるという状態はどんな状況なのでしょうか?」
霊媒師が答える。
「四ツ角に封じ込められ、自力で出られなくなってしまうのです」
拓郎君が電話口にかしづくように言った。
「子供の霊魂が夢見術を駆使してそんな事を出来るのですか?」
霊媒師がくぐもった声で答えた。
「出来るのです」
拓郎君がうろたえつつ尋ねる。
「何故四ツ角なのですか?」
霊媒師が答える。
「それはわかりません。でも四ツ角なのです」




