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闘病履歴139
寂しさを癒してやり、悪意の目分量を減らすやり方しか無いと、霊媒師は言った。
霊媒師が言う。
「犬の声が強力な子供の霊魂を呼んでしまったようですね」
拓郎君が言う。
「猫の霊を避ける為には犬への変化は避けがたく、その犬の声を聞き付け、子供の霊魂が憑依して来るのですね?」
霊媒師が答える。
「その構図になりますね」
拓郎君が尋ねる。
「あの子供の霊魂は何者なのですか?」
霊媒師が即答する。
「事故で死んだか、殺されたかの霊魂ですね。非常に寂しがっていますが、その寂しさが原動力となり、強い悪意を形成し、憑依して来るのです」
拓郎君が相槌を打ち言った。
「寂しさをエネルギー源として憑依し、冥界に誘う悪霊ですか?」
「そうですね。子供の霊魂が夢に現れるのは最も不吉な夢と言えるのですが、その不吉さがそのまま分身達をも取り殺すエネルギーに変換されているわけです」
拓郎君が尋ねる。
「回避する方法はありますか?」
霊媒師が答える。
「強力な夢見術を駆使しますから、闘っても勝ち目は無いでしょう。皆殺しを避けて、宥め、寂しさを癒してやり、悪意の目分量を減らすやり方しか無いでしょう」




