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闘病履歴137
生き霊の変化した犬が遠吠えをする。
生き霊が犬になり、吠え声を上げながら先頭を歩き、三人の分身達がそれに従う。
緑がかった道のりをゆっくりと着実に四人が進んで行く。
生き霊は完全に真っ黒い獰猛な感じの犬に成り切っており、時折立ち止まっては威嚇するように周囲に向かって吠え立てる。
生き霊の姿をしている時よりも動きは俊敏になっており、相変わらず動きが鈍い分身達はついて行くのがやっとの有様だ。
生き霊が変化した犬は一行の真後ろを振り返る事も可能であり、尾行を警戒するのに余念が無い。
Mへの霊道道のりを、犬の遠吠えが縦横無尽に満たして行く。
そして黒猫の霊は現れる気配を見せず、一行は彼女の無意識の領域を探り当て、粛々と進入して行った。




