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モスキート少女と狼少年  作者: 杏里
9/12

killer killer 3

モスキート。

俺が捜していた人材。

吸血鬼、というのとは少し違うんだ。

吸血鬼程優雅で綺麗なものなんかじゃない。

それに、吸血鬼のように化け物でもない。

モスキートは人間だ。それも、誰よりも人間だ。

そうでなくてはいけない。

愛に飢えた、孤独な人間。それでなくては、モスキートじゃない。

貪欲に紅を求め、それを啜って生きていく。

全身を、紅色に染めながら。

ああ、欲しい。モスキートと呼ばれているあの少女を。

奪うには、少々目障りな奴もいる。

高潔なるモスキートと烏滸がましくも行動を共にしている、あの穢れた(ウルフ)だ。

ありとあらゆる者の血を啜り続ける純血姫(モスキート)

(ウルフ)。貴様、そのことを忘れたとは言わさない。

我らが高潔で純粋な、純血姫。

姫の隣にいるのは、(キラーキラー)だけでいい。

──────

ドンドンと、乱暴にドアが叩かれる。

三人は、顔を見合わせた。

ドンドンドン

少し音が大きくなる。叩く力を強めたんだろう。

ドンドンドンドン

回数が増えていく。

真逆幽霊の類では?

バキッ

ドアが蹴破られる音。

これには流石に危機感を感じ、近くに置いてあったナイフを手に取った。二人も同様に、武器を取る。

静寂の室内に、足音が響く。

足音は、部屋の扉の前で止まった。

がちゃり

ドアが開かれる。

そこに居たのは───

「killer killer……?」

黒いフードで顔を隠した、暗い青年。

身長は推定180㎝前後。

「はい、我が純血姫」

その声は男性のもの。

じゅんけつひめ…?

「風梨は渡さない」

ラルフの声。いつもより低い。

「じゅんけつひめって、何のこと?」

誰もそれには答えない。

ナイフのグリップを、ギュッと握った。

「さあ、姫、こちらに」

ラルフが私の左肩に右手を回し、自分の方へ引きつけた。

「彼奴の言葉に従っちゃ駄目だよ」

耳に吐息が掛かる。

こんな状況にもかかわらず、不謹慎ながらドキドキする。

悠斗が前に出る。

何をする気なのか、検討がつく。

「駄目っ!」

慌てて飛び出そうとするが、ラルフは逆に私を引きつけた。

だからそんなに密着されたら…!

心臓の鼓動が聞こえてしまいそうになる。

「純血姫をこちらに渡せ」

killer killerは冷え切った声で要求した。

「嫌だね。風梨ちゃんが嫌がってるだろう?」

フードから覗く口元は、歪んでいた。

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