killer killer 3
モスキート。
俺が捜していた人材。
吸血鬼、というのとは少し違うんだ。
吸血鬼程優雅で綺麗なものなんかじゃない。
それに、吸血鬼のように化け物でもない。
モスキートは人間だ。それも、誰よりも人間だ。
そうでなくてはいけない。
愛に飢えた、孤独な人間。それでなくては、モスキートじゃない。
貪欲に紅を求め、それを啜って生きていく。
全身を、紅色に染めながら。
ああ、欲しい。モスキートと呼ばれているあの少女を。
奪うには、少々目障りな奴もいる。
高潔なるモスキートと烏滸がましくも行動を共にしている、あの穢れた狼だ。
ありとあらゆる者の血を啜り続ける純血姫。
狼。貴様、そのことを忘れたとは言わさない。
我らが高潔で純粋な、純血姫。
姫の隣にいるのは、俺だけでいい。
──────
ドンドンと、乱暴にドアが叩かれる。
三人は、顔を見合わせた。
ドンドンドン
少し音が大きくなる。叩く力を強めたんだろう。
ドンドンドンドン
回数が増えていく。
真逆幽霊の類では?
バキッ
ドアが蹴破られる音。
これには流石に危機感を感じ、近くに置いてあったナイフを手に取った。二人も同様に、武器を取る。
静寂の室内に、足音が響く。
足音は、部屋の扉の前で止まった。
がちゃり
ドアが開かれる。
そこに居たのは───
「killer killer……?」
黒いフードで顔を隠した、暗い青年。
身長は推定180㎝前後。
「はい、我が純血姫」
その声は男性のもの。
じゅんけつひめ…?
「風梨は渡さない」
ラルフの声。いつもより低い。
「じゅんけつひめって、何のこと?」
誰もそれには答えない。
ナイフのグリップを、ギュッと握った。
「さあ、姫、こちらに」
ラルフが私の左肩に右手を回し、自分の方へ引きつけた。
「彼奴の言葉に従っちゃ駄目だよ」
耳に吐息が掛かる。
こんな状況にもかかわらず、不謹慎ながらドキドキする。
悠斗が前に出る。
何をする気なのか、検討がつく。
「駄目っ!」
慌てて飛び出そうとするが、ラルフは逆に私を引きつけた。
だからそんなに密着されたら…!
心臓の鼓動が聞こえてしまいそうになる。
「純血姫をこちらに渡せ」
killer killerは冷え切った声で要求した。
「嫌だね。風梨ちゃんが嫌がってるだろう?」
フードから覗く口元は、歪んでいた。




