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モスキート少女と狼少年  作者: 杏里
7/12

killer killer 1

帰った後、リビングにて。

私は正座。

「何人殺したのぉ?」

ラルフの笑顔が今は怖い。

「一人、だけど……」

「殺人鬼さんを?」

「まあ…」

正直泣きたい。

「掃除屋に頼んで死体は片したよ。危ないだろ?何でこんなことしたのぉ?」

向こうから攻撃してきたんだ!仕方ない!

…なんて言える筈もなく。

「殺されそうになったから…」

私は俯いた。

「彼奴はねぇ、闇猫って名前の殺し屋なんだ。結構腕利きの。それに一人で立ち向かうって…」

ぎゅ、と。私を包み込む、温かさ。

気付けば私は、ラルフに抱き締められていた。

久しぶりの、温かさ。

「心配したんだから」

その温かさに、安心感を抱く。

自然と涙が出そうになった。

「ごめ、なさ…」

声が震える。

孤児の私には、こんな温かさなんて誰もくれなかった。

ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと─────

この温かさが、欲しかった。

「でもさ、流石だね。殺し屋を逆に殺す、なんて」

ぽんぽん、と頭を撫でられた。

ラルフが離れる。

「褒められて悪い気はしないわね」

私はちょっとにやけながら、そう言った。

「え?ふーちゃんってツンデレだったの?」

何だそれは。

「ツンもデレも無いよ」

即答。私は自分がそうだなんて1ナノグラムも思わない。

「じゃー何ぃ?クーデレ?」

デレは無いと言ってるだろうが。

「もう何でもいい」

抱き締められて感じた安心感は何処へやら。

いつも通りに戻った。その方が、いい。

「ラルフは、私をどう思ってるの?」

ふと思いついた疑問。

どう答えるか、なんて思いもよらなかった。

「んー、そぉだなぁ」

唇に人差し指を当てて、考える仕草。

その仕草が妙に似合っていて、私は目を背けた。

ラルフが口を開きかけたとき。

「大変だ!」

悠斗が玄関を勢いよく開けた。

顔面蒼白で、肩で息をしている。

走ってきたらしい。

「どうしたの?」

「これはさっき手に入れた情報で、確証は無いんだ…」

息を落ち着かせている。

「前置きはいいからぁ、早く」

ラルフは急かす。

悠斗は息を吸い込んで、一気に言った。

殺人者殺人鬼(キラーキラー)が、なぜか駆け出しの未熟な殺し屋、モスキートを探しているらしい」

くるくるくるくる。

運命の歯車は、廻る。廻る。廻り続ける。

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