killer killer 1
帰った後、リビングにて。
私は正座。
「何人殺したのぉ?」
ラルフの笑顔が今は怖い。
「一人、だけど……」
「殺人鬼さんを?」
「まあ…」
正直泣きたい。
「掃除屋に頼んで死体は片したよ。危ないだろ?何でこんなことしたのぉ?」
向こうから攻撃してきたんだ!仕方ない!
…なんて言える筈もなく。
「殺されそうになったから…」
私は俯いた。
「彼奴はねぇ、闇猫って名前の殺し屋なんだ。結構腕利きの。それに一人で立ち向かうって…」
ぎゅ、と。私を包み込む、温かさ。
気付けば私は、ラルフに抱き締められていた。
久しぶりの、温かさ。
「心配したんだから」
その温かさに、安心感を抱く。
自然と涙が出そうになった。
「ごめ、なさ…」
声が震える。
孤児の私には、こんな温かさなんて誰もくれなかった。
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと─────
この温かさが、欲しかった。
「でもさ、流石だね。殺し屋を逆に殺す、なんて」
ぽんぽん、と頭を撫でられた。
ラルフが離れる。
「褒められて悪い気はしないわね」
私はちょっとにやけながら、そう言った。
「え?ふーちゃんってツンデレだったの?」
何だそれは。
「ツンもデレも無いよ」
即答。私は自分がそうだなんて1ナノグラムも思わない。
「じゃー何ぃ?クーデレ?」
デレは無いと言ってるだろうが。
「もう何でもいい」
抱き締められて感じた安心感は何処へやら。
いつも通りに戻った。その方が、いい。
「ラルフは、私をどう思ってるの?」
ふと思いついた疑問。
どう答えるか、なんて思いもよらなかった。
「んー、そぉだなぁ」
唇に人差し指を当てて、考える仕草。
その仕草が妙に似合っていて、私は目を背けた。
ラルフが口を開きかけたとき。
「大変だ!」
悠斗が玄関を勢いよく開けた。
顔面蒼白で、肩で息をしている。
走ってきたらしい。
「どうしたの?」
「これはさっき手に入れた情報で、確証は無いんだ…」
息を落ち着かせている。
「前置きはいいからぁ、早く」
ラルフは急かす。
悠斗は息を吸い込んで、一気に言った。
「殺人者殺人鬼が、なぜか駆け出しの未熟な殺し屋、モスキートを探しているらしい」
くるくるくるくる。
運命の歯車は、廻る。廻る。廻り続ける。




