襲撃
私は無知だ。
本当にそう実感した。
「純血姫って、私に関係あることなんでしょ?だったら…だったら教えてくれたって…!?」
ガタンッ
大きな音。ラルフが机を叩いた音だった。
「風梨は知るな!!」
いつもとは全然違う荒々しい口調。
少しびくりとしてしまう。
何故隠すのか、分からない。
ラルフは教えてくれないだろう。多分、悠人も。
自分で調べて突き止めてやる。
密かに私はそう誓った。
バイブ音。
私の携帯のようだ。マナーモードにしていたからバイブ音なのだろう。
かつての友人達は全員着信拒否にした筈。ということは…?誰だろう。
『もしもし。風間だけど』
私はラルフが俯いているのを見てから、部屋の外に出た。
「アザレルが、何の用?」
どうせ公衆電話から掛けてきたのだろう。
『いや、携帯から電話しても出ないし。着信拒否されてるのかなーと』
「まあね」
やっぱり、と電話越しに彼の笑い声がした。
「そうそう、純血姫って知ってる?」
少し声を潜めて訊く。
『風梨のことだろ?知ってるよ』
「教えてくれない?」
『いいけど…ウルフは?教えてくれないのか?』
ため息を吐いて肯定する。
『純血姫ってのは……っと、悪ィ。ちょっと仕事入ったから一旦切るわ。また電話する』
そう言って唐突に切れてしまった。
唯一の知る術が…
「ま、いいか」
誰にともなくそう呟いて、電話を待つことにした。
部屋に戻ると、
「ふーりちゃん、ラルフと一緒に服でも買ってきなよ」
と悠人に言われた。
「行こぉ、ふーちゃん!」
さっきまでとは打って変わり、明るい様子。
「はぁ…」
気の抜けた返事をして、ラルフに引っ張られていく。
歩いていける距離にデパートがあったので、そこに行くことにした。
今日はコスプレだか何だかのイベントをやっているらしく、変な格好の人達が歩いていた。
本物そっくりの鎌を持った黒づくめの男の子とか、燕尾服の男性とか。
向こうには巫女さんとかシスターとか、よりどりみどりだ。
ラルフは鼻歌を歌いながら歩いていく。
因みに、手を繋いだまま。
「あ、アイス食べよぉ、アイスぅ!」
といってラルフは突然走っていく。
それに私も引っ張られていく訳で。
「あ、ちょ…」
子供かこの人は。
「どれにするぅ?」
そう言われてショーウィンドウを見る。
「じゃあこれで…」
ラムネソーダ味だ。
ラルフはチョコミントを選んだみたい。
すっごく嬉しそうに頬張っている。
頭キーンってこないのかな。
とか思いながら私も一口。うん、美味しい。
食べ終わると、案外真剣に私の服を見だした。
「これとかどぉ?」
非常に露出が高かった。
前言撤回。真剣じゃない。
結局ワンピースとか妥当なものを買った。
帰り道。
電話が鳴ったので、出る。
「もしもし?」
『ふ…う、り…逃げ、ろ……デパートで…お前を、狙った奴らが…!…ゔぁっ!…っく…死神…!』
そこで電話は切れた。
ドカーンッ
後ろのデパートで爆発音。
一体何が…!?




