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老後転生~異世界でわしが最強なのじゃ!~  作者: 空地 大乃
最終章 ゼンカイと魔王編
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第二五四話 いざ魔王城へ

 戦いが終わり一旦落ち着きを取り戻した後、ギルドマスターのスガモンの提案で一旦、主要メンバーはマスターの家に赴くこととなった。

 

 そしてそこでミャウやブルームが事の顛末を話して聞かせる。


 更にミルクやタンショウ、プリキアやヨイにもポセイドンとオダムドであった事を話してもらい情報を纏めた。


「奴らの目的は王国の主要都市に攻めこむことで、王都への注意を逸し、更に時間を掛けてばら撒いていたあのアスガという男の薬の効果を発揮させ、暴徒と魔物による挟撃で王都陥落を企てていたといったところかのう。じゃがそれとは別にマオという娘の事も狙っていたと見える」


「王都陥落は阻止できたけど、マオちゃんは一体何で狙われているのかしら……」


 ミャウはその事がどうしても解せないらしいが、その答えは誰にも知ることが出来ない。


「しかし、マオちゃんがどこに連れ去られたかを知るには材料が少ないのが現実や。アンミちゃんも何も知らんかったのやろ?」


 ブルームが誰にともなくいった。ちなみにアンミは今はジンの看病のためここにはいない。


「我が言葉に何も知らなかったとあり!」


「アンミちゃんは魔王の姿をちらっと見たことがある程度だったみたいね。基本エビスの命令だけを聞かされていたみたいだから」

 

 なんてこったとブルームが肩をすくめる。


「むぅ、しかしそんな事まで起きていたのに何も出来ずにいたとは……僕は勇者として失格だ~~~~! 魔王の居場所だけはなんとなく記憶にあるのに~~~~!」

 

 え? とみんなの視線が一斉にヒロシに向く。


「……おんし魔王の居場所わかるんかい?」


「え? うんわかるけど、でも今は関係ないよね?」


「いい意味でその情報は重要に決まってんだろボケカス死ね様。魔王の居場所は重要です」


「セーラ酷い!」


「既にそれ間違いとかのレベルじゃないわね……」


「ヒ、ヒロシュしゃまのきゅおくりょく、しゅてゅえ、きゅい」


 一人だけ明らかに反応の違うのが混じってるのだった。


「それで一体魔王はどこにいるんや?」


「う~んていうか結構有名だと思うんだけどな。サタウンズ山脈のど真ん中だけど」


「サタンズ山脈じゃと!」


 スガモンが驚きの声を上げ、皆が一斉に注目する。


「師匠知ってるんですか?」


「当然じゃ。サタウンズ山脈と言ったらかつては魔王が現れ居城を構える定番じゃったからのう」


「そういえばわいも古書で読んだ事あるわ」


「え? でもそんなに有名ならなんで今まで誰も気が付かなったの?」

 

 ミャウが眉根を寄せ当然の疑問を口にする。


「我が言葉に父上の手配した結界有りとあり!」


 結界? とラオン目掛け全員の声が揃った。


「そうじゃ。アマクダリ王はかつて魔王が生まれる現況がその場所にあることを看破してのう。サントリー王国と協力してサタウンズ山脈に結界を張ったのじゃ。その時はわしも協力したものじゃが、それであの山脈には誰に近づけなくなった。勿論魔王とて結界の中で無事ではいられないはずじゃし、それに結界になにかあれば何かしら反応があるはずじゃったのじゃが……」


 スガモンは怪訝に眉を顰める。なぜそこに魔王が鎮座しているのか不思議でならないといったところだが。


「……そうか、確か今の魔王は元勇者がそのまま魔王として君臨しているときく。それであれば結界の中にいても、くそ! しもうたわいそんな単純なことにも気が付かんとは!」


 スガモンが悔しそうに歯噛みしてみせる。


「でも師匠、入る事は誰も出来ないんですよね?」


「そのはずじゃ。結界が破られればすぐにでも判るはずじゃからな」


「いや、結界をわざわざやぶらんでもいけるかもしれへんで。あの七つの大罪は残り二人。そのなかのイシイちゅうのは妙な力をもっておった。扉を開けてその中に入るんや。以前四大勇者の死体を盗んだのもその力いうなら、それで中に入れたとしても不思議やない」


「いやしかしのう。そういった魔法の類は結界では」

「イシイいうんはトリッパーや。つまりこいつの使うのはチートちゅう力やろ? それでも反応するんかい?」


 ブルームの言葉にスガモンが、あ!? と大口を広げ。


「そうか! それがあったか! うっかりしとったぁあああ!」


 両手で頭を抱え絶叫を上げるスガモンである。


「まったく年をとって耄碌しとるんじゃないかい?」


「え~い! おまえには言われたくないわい! クソジジィ!」

「なにぉう! この偏屈爺ィ!」


 ゼンカイとスガモンが怒鳴りあうが止めるものはおらず。


「でも王国側は魔王をずっと探していたんでしょ? ヒロシも全く気がつなかったの?」


「う、うぅん。僕は結界の事は王には聞いていたからね。だから記憶にあってもおかしいなとは思ったんだけど。それに僕に来る依頼は王国内のばかりだったし」


「ひゅうきゃ! ひろしゅしゃまを、みゃりゅきゅいうにゃ!」


 エルミールが指を上下にぶんぶん振り回し抗議する。


「うぬが! 我が言葉に……」


 そこまでいってラオンは一旦目を伏せ、そして皆に向き直り。


「我もそれには解せん事がある」


「喋りが元に戻りおった!」

「ひさしぶりねこの口調」


「……父でもある王は確かにかつて魔王が生まれしサタウンズ山脈に結界を張らせた。そしてそれから魔王の脅威はない。平和だとさえいっていた。だがヒロシの勇者任命をきっかけに魔王が現れたと再び口にしだしたのだ」


 ラオンの真面目な語りに皆が若干の困惑顔を見せるが。


「でもそれって結局魔王がいたわけですから問題ないのでは?」


 プリキアが首を傾げながらいう。


「そうだよねプリキアちゃん」


「ヒカルきもいのう」

「あんたに言われたくないよ!」


「うむぅ、我が言葉にそれもそうかとあり!」


「口調戻った!」


 ラオンの調子も戻ったところで話は魔王城の結界を解けるのか? という話に言及されるが。


「まぁ自分で掛けたらな解くのも出来るんじゃろう?」


 ブルームの問いかけにスガモンはため息を吐き出し。


「それがそう簡単にはいかんのじゃ。あれはわし以外の魔導師も揃っての結界じゃからのう。完全に解くのは無理じゃ」


「そんな……」


「え~~い! なんとかせんかい老いぼれ!」


「お前は本当に腹のたつやつじゃのう。じゃが安心せい。解けはしないが弟子と協力することで一時的に穴を開けることぐらいは可能じゃ。ただあまり長時間は無理じゃからな。中に入れる人数は限定されるがのう」


「それで十分よ! よし! 話はきまったわね! 早速いくとしましょう!」


「じゃあ師匠転移魔法で?」


「それは無理じゃ結界の力があって周辺には移動できん」


「じゃあ一番近くにとりあえずいけばいいだろ?」


 ミルクがそんな事を言うが。


「じゃがそうなるとサントリ王国の領内じゃ。黙ってはいけんのう。ラオンよ許可はとれるかのう?」


「我が言葉に一〇日程あればとあり!」


「そんなに待ってられないわよ!」


「たくっ、融通がきかねぇな……」


「だったらマスドラに頼めばいいんじゃないかな? 空から行くなら大丈夫じゃない?」


 ヒロシの提案に、それだ! と全員が声を揃える。


「しゃすが、ひろしゅしゃま、しゅてき」


「いい意味でピロシキもたまには役にたつ」

「セーラ、僕そろそろ泣きそうだよ……」


 こうしてマオ救出のための計画も決まり、そして魔王城に向かうメンバーも八人が選ばれた。

 そのメンバーは、ゼンカイ、ミャウ、ミルク、タンショウ、プリキア、ヨイそしてヒロシにセーラである。


 ウンジュとウンシルは精霊の舞いによる消耗が激しいこと、ブルームは立場上アルカトライズでまだやるべきことがあることなどから参加を見合わせた。

 

 しかしヨイを含めたトリッパーは今回全員参加となる。

 ただしヒカルに関しては結界を開ける必要があるため、城まではいけないが――


 そして――




「ありがとうマスドラ」

「助かったのじゃ~」


「うむ、我もふたりの勇者を乗せてここまでこれたことを誇りに思うぞ。城まではいけぬが、我もここの上空からしっかり見張らせてもらおう」


「私もダーリンの上からちゃんと見ておくわね」


 一行を乗せてサタウンズ山脈までやってきたマスドラは、全員を下ろし一行にそう言い残すと、上空高くまで飛び上がった。

 ちなみにシーリアも一緒に付いてきており背中に乗っている。

 どうやら最近祝言を上げたらしい。


「リア竜爆発しろ!」


 空に向かってヒカルの悲しい咆哮がこだました。


「ヒカル馬鹿なこと言っとる場合か。はよ始めるぞい」


「うぅはい師匠――」


 言って師匠と弟子が肩を並べて立つ。

 その目の前には険阻な山岳が聳え立つ。


 結界の一部が開かれた後はそこから山岳を登り途中の洞窟を超えれば城が見えてくるらしい。


「これから結界をあけるが全員くれぐれもきをつけるんじゃぞ」


「まぁわしがついているから大丈夫なのじゃ~」

「なんかお爺ちゃんの言葉で安心できるようになったわね」

「勿論このヒロシもいますからね!」

「いい意味でヒロキいざとなったら頼りない」

「酷い! でも名前は惜しい!」

「ゼンカイ様ばかり危険な目にはあわせません!」

「プリキアちゃんも気をつけてね! 一人だけの身体じゃないんだから! あとヨイちゃんも!」

「一人だけって意味がわかりませんが……」

「こいつロリコンじゃね?」

「ボ、ボブさん、ま、まだ、い、いたんですね」


 スガモンは一部のやり取りにそこはかとない不安も覚えるも。


「ほれ! ヒカル始めるぞ! 言った通り波長を合わせるんじゃ!」

「わ、判ってるよ。それじゃあ!」


 そして師匠と弟子による共同作業で同時に両手が結界向けて翳され、すると結界の一部に罅が入りピキピキと亀裂が広がり、遂には人一人分ぐらいの穴が広がった。


「今じゃいくのじゃ!」


 スガモンの合図で全員が一斉に穴の中に飛び込む。

 そして、必ず戻ってきます! と言い残し魔王城目掛けて一行が駆けていった。


 その背中を見送りながらヒカルが呟く。


「あれ? 今のって微妙にフラグ立ってない?」

「何を言っとるんじゃお前は」




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