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初めに竜があった  作者: 最黒福三
竜の時代
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捕獲

クララは険しい道にもへこたれずにキタへの旅を続けた。困難な旅の末にクララは今まで見たこともないほどに巨大な建造物を見つけたのであった。






 クララは目を覚ました。

 手足を動かそうとするが動かない。

 ぼやけた頭がはっきりしてくると、自分が首から上だけ出して地面に埋められているのだということがわかった。

 動かせる範囲であたりを見渡す。

 すると例の巨大な建造物が少し遠くに見えた。

 ここは大きな岩に囲まれた見晴らしのいい平地のようで、その真ん中にクララは埋められているのであった。

 なんとか抜け出せないかともがいていると、岩陰から1匹のトカゲが現れた。


「目が覚めたか。さあ洗いざらい喋ってもらおうか。お前が一体何者で、何のためにここへ来たのかということを。」


「あんたが俺をこんな目に合わせたのか?」


「ああ、散歩から帰ってくると知らない奴が門の前にたってうろうろしている。そりゃ誰だって警戒するさ。念のために背後から近づき、殴って身動きできないように地面に埋めた。さあ、質問に答えてもらおうか。」


 クララは目の前のトカゲは荒野で見た卵から生まれた者に違いないと見当をつけた。

 下手に歯向かうより、自分は敵でないということを理解してもらうためにここは下手に出た方が得策だと考えた。


「俺の名はクララ。ここよりもずっと遠くにあるトカゲの集落からずっと北に向かって旅をしてきたんだ。目的は大トカゲがどこで生まれ、どこからやってきたのかということを調べるために…」


「トカゲの集落?大トカゲ?お前の話はさっぱりわからないな…」


 クララは目の前のトカゲが次々と投げかけてくる質問に丁寧に答えていった。

 大勢のトカゲが暮らす集落があるということ、その集落が鰐と大トカゲに襲われて絶滅寸前までトカゲ達は追い込まれたこと、その後大トカゲが回心してトカゲの味方になってくれ、自らの命を犠牲にして攻めてきた鰐を追い返してくれたこと、自分は大トカゲがどこで生まれたのか、どこからやってきたのかなどということを知るためにキタをひたすら旅をしてきたこと、などを話した。

 目の前のトカゲは興味津々になってクララの話に聞き入っていた。


「へえ、俺と同じ仲間のトカゲがそんなにたくさんいて、そしてそんな大変な目にあっていたとはなあ、全く知らなかったよ。」


「俺はここよりもずっと離れた荒野でトカゲの卵の殻を2つ見つけた。これは俺の予想なんだが、その内の1つから生まれたのがあんたなんじゃないかと思っているんだ。」


「ああ、ここよりずっと南にあるあの物寂しい荒野のことか。そうだよ、俺はあそこで生まれたんだ。うーん、懐かしいな。全くあの時は参ったよ、苦労して卵を突き破って這い出しても、その卵を生んだトカゲはどこにも見当たらないんだからな。そばには同じような境遇のトカゲが1匹いるだけ。しばらく俺たちは泣いていたが、どうしようもないので荒野の中を行く当てもないのに進んでいったんだ。そういえばあいつは元気にしてるだろうか…分かれ道で別れてそれっきりだからな。」


「俺はさらにあんたがその時別れたもう1匹のトカゲが大トカゲになったんじゃないかと考えているんだ。あんた、何か知らないか?」


「え、そうなのか?うーん、それ以来あいつとは会っていないからな。その後あいつがどうなったのかなんて知りはしないよ。…でも大トカゲが集落の外からやってきたんだと言うなら、あいつがその大トカゲになったのかもしれないな…」


 トカゲはそういうと感慨深そうに目を瞑って思い出に浸ってしまった。

 クララはさらに今度は自分が聞きたいと思っていたことを聞いた。


「なあ、今度はあんたの話を聞かせてくれないか?あんたはその、険しい山のところでもう1匹のトカゲと別れて、それからどうしていたんだ?そしてあの巨大な建造物は一体何なんだ?」


「話すこと、と言っても特にはないけどな。お前と多分同じ道を通って俺もひたすら旅をしてきたんだ。まあお前とは違って色々寄り道もしたけれどな。それで段々と旅をするのも疲れたなあ、と思った矢先にこの建造物を見つけた。それ以来まあここに住まわせてもらってるってわけさ。なあ、ここはすごいんだぜ。中はすごい複雑な迷路みたいになっているところもあるし、泉も中にたくさんあるし、あの屋上からさらにのびている塔の上からあたりを眺めるとはるか遠くまで見渡すことができるんだぜ?中は広すぎて俺もまだ全部は探検しきれてないんだ。そうだ、中を案内するよ。ついてきな。」


 そう言うとトカゲはたちまち走り去っていってしまった。

 しかしクララがついてきていないということに途中で気付き振り返って叫んだ。


「おーい!何をしているんだ?ついてこないのかー!?」


 クララは声を張り上げて答える。


「地面に埋められているから身動きが取れないんだよ!はやく出してくれ…」


「ああ、悪い悪い…」


 そういうとトカゲはクララの下に駆け寄ってきてすぐさま地面の土を掻き出してクララを外に出した。

 長い間同じ体勢でいたのでクララの体はあちこちが痛くなっていたが、トカゲがはやく俺についてこいと急かすので、休む間もなくクララは走り始めなくてはならなかった。

 変な奴だなあ、と思いながらクララはトカゲの後についていった。

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