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二章-13
「ルッツの嘆きとナヴィアの嘆きが同調した。その結果に起きたことだよ、アレは」
ナヴィアを倒して、ルッツは意識不明に陥った。意識不明者の数人がジェミニに関する記憶の殆どを奪われた状態で、それでも意識が戻り健常者となったのにも関わらず、それと反する様に彼は深い眠りに落ちたままだ。
それはナヴィアに襲われて意識を失った者たちを開放するとともに、同調していたがために自身にもひどく影響を受けてしまったルッツの、栄光だ。彼の求めて止まなかった、正義の行いである。人々へ向けられた救済。そして、絶望し嘆くナヴィアでさえも、その行動で救ったのだ。
(だが、終わらない。ナヴィアの嘆きが響けば、フェノーバは祈る)
今回のことで、ヴィオはリスタについて考えを変えたはずだ。ただの、初心者ではない。だが、ヴィオがレールを踏み外さないよう先を示すのは、僕に与えられた使命。ヴィオはただ戦い続けるしかない。すべてが終わるまで、ずっと。ジェミニの神が倒れるまで、僕もヴィオもロキの掌で踊り続けるしかない。