◆ヨハンの観察日記◆ 1
※桁を多く取っている日付けは文字化けではないです。
198,931日
ご主人様が(を?)助けた女性との共同生活は思っていたよりも悪くないみたいだ。アマーリエさんは本当にメレディスの血を引くお嬢様には見えない。女性にしてはとても逞しく、頼もしく、庶民的だ。僕の仕事を手伝ってくれようとしてくれる。(掃除も料理も散々だったけど)。でも、とても気を使ってくれる。(子供扱いだけど)。僕はアマーリエさんよりも年上だってこと、最初に言ったんだけどなぁ。
198,938日
電気、とはなんだろう?
最近よくアマーリエさんがご主人様に言っている言葉だ。常に不満そうにしているのには気づいているんだけどね。でも、アマーリエさんもお間抜けさんだなぁ。僕たちは悪魔なんだから、何かと引き換えじゃないとタダでお願いは叶えてあげられないんだよ?よく言うでしょ?タダより高いものはないって。
198,942日
さっきアマーリエさんに町に行こうと誘われた。
うーん、あの顔は何か企んでいる。ご主人様も多分、あの会話は聞いていただろうから気づいているだろうけど。アマーリエさんは嘘をつけない人だね。メレディス家の人間にしては素直すぎるような気がするけど。本当に腹黒メレディスの血を引いているのだろうか。
でも、本当は少し楽しみだ。人間に近づくと食事が出来るしね。以前、アマーリエさんの味見をしたらご主人様に睨まれた。あんなに美味しそうな匂いがしてるのに駄目だなんて。ご主人様が一人占めするなんて、珍しい。でも、分からなくないな。つまみ食いしたアマーリエさんは、いい感じに不幸な味がしたからなぁ。
198,948日
久しぶりの町は、いい感じにお腹が膨れた。隣の席に座った女の子たちとアマーリエさんの幼なじみからは同じ匂いがして、ご主人様の了解を得て食事を分けてもらった。ごちそうさまでした。
アマーリエさんが僕を町に誘った意図が分かったような気がした。実際、口にした食事は三百年前とは味が違う。僕の味覚やご主人様の味覚は三百年前のものだ。一方、アマーリエさんの味覚は今のもの。アマーリエさんは優しいから不味いと直接口に出して言わないけど…。僕としたことが不覚だったなぁ。着るものはアマーリエさんが町で買ってきた本を参考に見ることが出来るけど、味だけは見ただけじゃあ再現はできないからね。もっと勉強しないと。
それにしても、やっぱりアマーリエさんは変わった人だ。あのご主人様に(嘘の)プロポーズをされて、普通の女性なら惚けるはずなのに怒りだすんだから。本当に、からかいがいのある人だよ。
一人称は苦手なんです。でも、これは書いてて楽しかった。