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脳筋スナイパーの戦記

作者: 結城 からく
掲載日:2026/09/19

 玉座の間の中央で魔法陣が光り輝く。

 そこに現れたのは、軍服姿の屈強な男だった。

 手にはボルトアクション式の狙撃銃を握っている。

 男は顰め面で周囲を見回していた。


「ここは……」


 玉座に腰かける王が、荘厳な口調で問いかける。


「勇者よ。そなたの名を聞かせよ」


「……ジェームズ・アウソン」


 軍服の男ジェームズは端的に答えた。

 立ち上がった国王は、両手を広げて高らかに告げる。


「勇者ジェームズ! 世界の命運はそなたにかかっておる! 魔王を倒してくるのだ!」


「断る。俺が従うのは祖国の命令だけだ」


「なっ!?」


「そもそも何の説明もなく偉そうなことを言うな。痴呆か? 出直してこい」


 驚愕する国王に対し、ジェームズは暴言混じりの返答を述べた。

 数秒ほど思考停止していた国王であったが、次の瞬間には目を血走らせて激昂する。


「この男は勇者ではない! 不届き者を殺せェッ!」


 待機していた兵士達が、槍を構えてジェームズを包囲する。

 獰猛な笑みを湛えるジェームズは、舌なめずりをして狙撃銃を構えた。


「ハッ、上等だ。状況は分からんが、お前達が敵であることは理解できた――皆殺しにしてやる」


 弾かれたように疾走するジェームズが発砲する。

 放たれた銃弾は、真正面にいた兵士の眉間を的確に貫いていた。

 死体から槍を奪ったジェームズは、近くの兵士から順に刺し殺していく。

 叩き込まれる反撃を躱しつつ、彼は次々と死体を築き上げていった。


 その光景に国王は罵声を投げる。


「悪魔め……ッ!」


 国王は近くの窓を突き破って飛び出した。

 そこから風の魔術で飛行し、遥か彼方へと逃げ出す。

 室内の兵士を殲滅したジェームズは小さくなっていく国王を睨み、ゆっくりと狙撃銃を構えた。


「よりによって、この程度の距離で油断するとはなァ……ッ!」


 ジェームズが照準を合わせて引き金を引く。

 刹那、国王の後頭部に穴が開いた。

 魔術が解けたことで、国王の死体が城下町へと墜落する。


 そこまで見届けたジェームズは、堂々と玉座に腰かける。

 腰を抜かした貴族や使用人が注目する中、彼は意気揚々と宣言する。


「今日から俺が王だ」

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