脳筋スナイパーの戦記
玉座の間の中央で魔法陣が光り輝く。
そこに現れたのは、軍服姿の屈強な男だった。
手にはボルトアクション式の狙撃銃を握っている。
男は顰め面で周囲を見回していた。
「ここは……」
玉座に腰かける王が、荘厳な口調で問いかける。
「勇者よ。そなたの名を聞かせよ」
「……ジェームズ・アウソン」
軍服の男ジェームズは端的に答えた。
立ち上がった国王は、両手を広げて高らかに告げる。
「勇者ジェームズ! 世界の命運はそなたにかかっておる! 魔王を倒してくるのだ!」
「断る。俺が従うのは祖国の命令だけだ」
「なっ!?」
「そもそも何の説明もなく偉そうなことを言うな。痴呆か? 出直してこい」
驚愕する国王に対し、ジェームズは暴言混じりの返答を述べた。
数秒ほど思考停止していた国王であったが、次の瞬間には目を血走らせて激昂する。
「この男は勇者ではない! 不届き者を殺せェッ!」
待機していた兵士達が、槍を構えてジェームズを包囲する。
獰猛な笑みを湛えるジェームズは、舌なめずりをして狙撃銃を構えた。
「ハッ、上等だ。状況は分からんが、お前達が敵であることは理解できた――皆殺しにしてやる」
弾かれたように疾走するジェームズが発砲する。
放たれた銃弾は、真正面にいた兵士の眉間を的確に貫いていた。
死体から槍を奪ったジェームズは、近くの兵士から順に刺し殺していく。
叩き込まれる反撃を躱しつつ、彼は次々と死体を築き上げていった。
その光景に国王は罵声を投げる。
「悪魔め……ッ!」
国王は近くの窓を突き破って飛び出した。
そこから風の魔術で飛行し、遥か彼方へと逃げ出す。
室内の兵士を殲滅したジェームズは小さくなっていく国王を睨み、ゆっくりと狙撃銃を構えた。
「よりによって、この程度の距離で油断するとはなァ……ッ!」
ジェームズが照準を合わせて引き金を引く。
刹那、国王の後頭部に穴が開いた。
魔術が解けたことで、国王の死体が城下町へと墜落する。
そこまで見届けたジェームズは、堂々と玉座に腰かける。
腰を抜かした貴族や使用人が注目する中、彼は意気揚々と宣言する。
「今日から俺が王だ」




