心地いいカップのふちと飲み物の温度について。
お気に入りのマグカップと、ティーカップと、湯呑みを持っています。どれも温かい飲み物を飲むと幸せになれる、お切り入りのうつわたち。
けれど紅茶や緑茶やココアを飲んで美味しいからと言って、それを流用して冷水などをぐいっと干してみると。不思議なことに、あの「ほっ」とした感じが得られないのでした。
なんでだろう。
しばらく考えながら暮らしていたとき、猫舌な私には温かい(熱い)飲み物と冷たい飲み物を口にする時に、動作の微妙な違いがあることに気づきました。
熱いものは、熱いゆえに、温度を確かめつつすすす、と飲んでいる。
冷たいもの、室温のものは熱くないことが分かっているので、ぐいっと勢いよく飲んでいる。
このスピードというか、カップを傾ける微妙な角度の違いが、「ほっ」を消していることが分かったのです。
時間をかけて飲んでいたゆえに冷めてしまった紅茶を、お気に入りのティーカップでぐいとあおっても、別に美味しく感じない。
それは飲み物それ自体の温度のせいではなくて、カップの作りと、今カップに入っている飲み物の温度とがミスマッチを起こしているからかもしれません。
逆もまた然りで、冷たい水を飲んで美味しいグラス(耐熱)などに白湯またはぬるい水などを入れて飲んでも、やっぱりスッキリ感に欠ける感じがあると思うのですよね。
友達に、カップやスプーンのふちの厚みにこだわる人がいます。
彼女曰く、スプーン(特に木製)はぽってり可愛らしいシルエットで結構だけれども、先端だけは薄く角度よく作られていないと、皿から量の少なくなったおかずをすくったり、口に触れたりした時に心地よく食べられないのだと言います。同じ理論か、カップの飲み口にもこだわっている様子。
私もそんな友達の影響でカップのふちを観察するようになったら、確かに想定された「注がれる飲み物」によって、厚みに違いがあるようでした。
厚い、薄い、まっすぐ、反っている、陶器、磁器、エトセトラ。
この飲み物を美味しく飲むならこれ、と固定することは難しい。
人の好みは色々ですし、「え、これで?」と思った茶碗で飲んだ抹茶が、意外と美味しく感じられたりするからです。うつわの重みや口当たりは、実際に持ち、口に当ててみないと分からない。
持ってみることは実店舗なら可能かもしれない一方で、口に当てる、は基本的に買ってからでないとできないのが、うつわを暮らしに迎えることの賭け要素だと思っています。
その点、IKEAや東京インテリアは賢くて。店内のカフェやレストランで供される料理やドリンクは、その店舗内で売られている皿(多くは自社製品)に載せられやってきます。実際に料理を載せるとどう見えるのか。これはこういうのを盛ってもかわいいのか! このフォーク使いやすいな、このお皿、見た目で気になってたけど意外と口当たりイマイチだな………などなど。いろんな発見ができます。
このカップは、どんな飲み物を美味しく飲めるように、って想定して形作られたものなんだろう。
このふちの厚みなら、飲んだ時どんな感じかな。
そんなあれこれを考えながらうつわを眺めているから、食器コーナーに長居できてしまうのですよね。




