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現代お茶人作家のつれづれ日々帖  作者: 久慈柚奈
2026年3月

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「配膳さん」のつもりで、茶席にホスピタリティを

先日、お茶席のお手伝いをさせていただく機会がありました。

「茶会」ではなくて「お茶席」だし、点て出しのお茶とお菓子を運ぶのが主なお仕事。

茶道一年生の私にとってはまだ多少気が楽な場でした。


そうはいっても飲食店経験者。それにお茶席のお手伝いとなれば、がぜんおもてなしにやる気が出るというもの。


それというのも先日、笠井一子さん著『配膳さんという仕事』(平凡社)という本を読んだばかりだからです。


「配膳さん」というのは、現在京都にしかない仕事で、男性が担うものだそう。

歴史と奥が深すぎて、仕事内容は是非とも本を読んでもらいたいのですが。雑に一言で言ってしまうのならば「おもてなしを極めた人たち」です。


お客さんの顔と名前と履き物持ち物を覚える記憶力。

現場を指揮する思考力。

お茶会はじめ、日本の伝統文化や芸能に対する知識と経験。


そういうものを併せ持った人たちだといいます。


私は顔覚えが悪いし、男性でもないから配膳さんそのものにはなれなくても、配膳さんが提供する贅沢なおもてなしの片鱗くらいは真似できるのではないか。やってみたい。


そんな心持ちで、お茶席のお手伝いに臨みました。


茶道一年生で、知識も、できることも限られているので。

むしろきちんとできることの筆頭が、苦手な接客かもしれません。




そんなわけで当日。

お客様のご案内や、ちょっとお茶点て、懐紙を折って並べるお手伝いなどをさせていただきました。


要り用の方の足元にスリッパを並べたり、両手が塞がっている方を先導してエレベーターのボタンを押したり、懐紙の減りに目を配って「もう少し折っておきましょうか?」と先輩に声をかけたり。できました。


もちろん至らないところもあったと思いますが、ちょっとは「配膳さん」っぽいことが出来ちゃんじゃないかな、とほんのり得意な気持ち。


お客様を席に通してお茶を出すって、相手をもてなしたいからすることだと感じています。

それに「おもてなし」というフレーズがインパクトと共に東京2020を引き寄せたように、日本には特有のおもてなしの心があるでしょう。そしてその心はきっと、茶道に凝縮されている。


だったら自分が思う「おもてなし」を尽くすことが、初心者なりに真摯にお客さんに向き合うことなんじゃないかな、と思いました。




また次にお茶席を手伝える機会があったら、それまでにもっと知識と経験を積んで、おもてなしを洗練させたいな……! と、かすかな野望も抱きつつ。

初出:2025年5月6日note(記事をこちらへお引越ししました)

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