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現代お茶人作家のつれづれ日々帖  作者: 久慈柚奈
2026年3月

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赤絵のうつわのかわいさえぐい

大好きな親族から譲り受けた茶碗蒸し用の蓋つき碗を、ずっと押し入れの奥にしまっていました。

単純に、食器棚が他のうつわで満員だからです。

「いらない?」って聞かれたから、「かわいい!」って言ってもらってきた記憶は、押し入れの奥の箱を見るたびに「使いたいなあ……」「でもうちには蒸し器がないんだ……」「オーブンで蒸して割れたらショックで発狂する」などと葛藤しつつ更新されていました。長く見ないでいるうちに詳しい絵柄は忘れてしまっていたんだけど、「とにかく、かわいいと思った」という事実だけは覚えていて。


別に、5客まとめて食器棚に移せなくてもいいじゃないか。

ひとつだけ出して小物入れとかにしても、かわいいじゃないか。


そんな柔軟な使い方をひらめいて、ようやっと実際に箱の蓋を開けました。久しぶり〜1、2年以来かな?

割れないようにきちんと緩衝材と紙にくるまれたうつわたち。蓋と本体をワンペア取り出して紙を外した私は驚愕しました。


一部に赤絵があしらわれたデザインだったのです。嬉しくて思わず二度見。


もう記憶が薄れつつあるけれど、確かこれを譲り受けた時の私はまだ「和食器ってかわいい」の道をてくてく歩き始めたばかりの頃で、織部焼を「野暮ったい」と思っていたし、赤絵が「赤絵」という名前の衣装であることも知りませんでした。「和食器」とは言いつつも、ぼってりした土っぽい粉引や信楽焼より、つるっとモダン寄りな萩焼とか京焼が好きでした。(もちろん今も好きだけど……)


そんな頃の私が、赤絵のあしらわれたうつわを見て「かわいい」と思い、譲られていたとは。

好みに遍歴はあれど根っこはすでにあるものなのかしら……? と、人間の心理について考え込んでしまいます。


とはいえね、私は無類の赤絵好きではないなって、最近気づいてきてもいます。


オークションでいろんな風合いのうつわを眺めることがマイブームなのですが、そこで見る赤絵の器は、時代も仕上がりもいろいろです。

太めの筆で描かれたシンプルなものから、細めの筆で描かれた細かめの模様まで。あるいは細筆で仕上げられた、白い部分の多い赤絵も。

中には長い時を経るうちに「白」だった部分が茶色みを帯びてきた器や、黄色味の出てきたもの、変わらない白っぽさを保っているものなど……。

その違いが何によってできるものなのか? うつわの土にまでは詳しくない私にはわかりませんが、自分は「時が経っても白っぽさが残っている赤絵が好き」ということはわかりました。つまりは条件付きの赤絵好き。


だからなんだって話でもないけれど、自分がどういううつわの、どういうところが特に好きなのかを知っておくことって、日々の小さな幸せにつながる感じがして。見つけるたびに嬉しくなります。

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