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現代お茶人作家のつれづれ日々帖  作者: 久慈柚奈
2026年2月

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置き場所を決めて、そこへ戻すだけ--片付けの真髄はお点前の中にある

私はこんまり先生の「ときめく片づけ」にお世話になった者のひとりです。

中学2年生の時に、初めての「片づけ祭り」をしてからはや10数年。おかげさまで散らからない部屋に住むことができています。

好きなものが多いから、ミニマリストになることには挫折したけれど、お気に入りが集まった部屋は昔の自室ほど無秩序ではありません。助かる。



立礼を自主練し、手応えのあるお稽古を終えて少し。

イベントに持って行ったものをしまったり、おうちを掃除したりしている時に、突然「出したものを、決まった場所にしまう(仕舞う)」という行為に、えもいわれぬ心地よさを覚えたのでした。

そういえばこんまり先生の本にも、モノの定位置を決めておけば、あとはそこに戻すだけ、と書いてあったな。


……思い出しはしたのですが、感じ方を考え直してみると、どうもこの心地よさは片づけだけから来ているわけではない気がする。

もっと考えを深めていくと、そこにあったのは茶道のお点前でした。


無駄なものを削ぎ落とされた、ただ「茶を点て、相手と心を通わせる」ためだけの部屋に、必要なものを運び込み(あるいは用意しておいて)、お茶を点てる。終わったら、道具をしまう。

お点前の最中も、茶碗に入れて運んできた茶筅や茶巾を取り出したり、蓋置きを動かしたりという動作がありますが、どのあたりに置き、どう使い、どういう順番でしまうかまで決まっています。

なんなら私はまだ実物を見たことはありませんが、茶室の裏方である「水屋」にもモノの置き場所が定められていて、洗ったらそこに道具をしまう。


道具や飾り物の、飾り方や置き場所が形式や作法として決まっているのは、茶室の前身である書院のころからあるようです。日常使いのモノ、とは言い切れないかもしれないけれど、モノの定位置が決まっている、という点においては、ときめく片づけと通底するものがあると思います。


点前(立礼)の流れを覚えてしまうと、体が自然に動くようになります。

「次、何するんだっけ?」「これをどこに置くんだっけ?」を考える必要がなくなって、本当に大切なこと、美味しいお茶を点てることに集中できるようになります。

これは「ときめく片づけ」で言うところの、部屋が片付くと、人生において大切なものに集中できるようになる(逃げ場がなくなるとも言う)、と同じ作用ではないでしょうか。


モノの定位置もお点前も、動作や順序を覚えるまで(体に記憶されるまで)は立ち止まって考えねばならない時間が多いかもしれませんが、一度身についてしまえば、あとはあえて考えなくてもできるようになっていきます。

……とはいえそこを無意識に流さず、動作の一つひとつに意識と心を込めて……というのが、茶道に必要とされる態度ではあるのでしょうが。

そうやって、身体に記憶された動作をなぞりながらうっすら「動作をなぞっている」自己を認識していると、なんだか心も頭も整ってすっきりした感じになっていく。

気がついたら日常生活の中で、そんな心持ちになっていたのです。


見つけたのは暮らしの中でだけれど、きっとこの清浄な気持ちは茶道に根差したもの。

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