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現代お茶人作家のつれづれ日々帖  作者: 久慈柚奈
2026年1月

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手持ちの襦袢が化繊なのをいいことに着るたび洗ってたわ

正絹の着物って、家の洗濯機で洗うなんてとんでもなく。

理想は着物屋さんで「洗い張り」というものをお願いするという。


では絹でできた襦袢も、下着とはいえ同じようにしなければならないのでは!?

……恐れおおい。


と思って、着付けを習っていた頃に初期必要品として購入必須だった襦袢(化繊)をも恐れおおく扱ってきた私です。

多分、正絹の襦袢って着たことないんじゃないかな? 成人式の時は、あれ正絹だった? 着付けを習う前だから眼力がなかった、わからない………。

着物の大敵はカビと虫と黄ばむこと。もしもお気に入りの着物や帯に黄ばまれてしまったら、私は立ち直れないでしょう。


と思って、自宅で洗えるものはせっせと毎回洗濯しています。

肌襦袢とか、化繊の着物とか。

襦袢も化繊のため、着るたび洗濯していました。

しかしうちのベランダって狭いので、着物を着た翌日のたびにあれもこれも干していると、あっという間に普段の服が干せなくなるくらいです。

それに畳むのって大変だし、あれもこれも気を使うし……とプレッシャーが重なって、「襦袢も洗う」「洗わなければならない」という思い込みが、着物を着ることへの心的負担を増していました。


そんな悩みを茶道教室でこぼすと、先輩から一言。

「あら、襦袢なんて毎回洗わなくてもいいのよ」

え?

「汗ばんできたら、半衿だけ取って洗えばいいのよ。絹の襦袢を毎回洗っていたら大変でしょう」

さも当たり前のことのように言うので、私も憑き物が落ちたように「あ……はあ……」と呆けた相槌を打ちました。


言われてみれば………そうだ。


毎回全部洗うのなら、いっそ半衿なんてつけなくてもいいのでは? 面倒だし。

……ということになるから、逆に半衿ってあるのか。

半衿をつける面倒さを引き受けるから、最も汚れやすい襟元の汚れを半衿が受け止めてくれて、襦袢の綺麗が保たれるのか。

え、でもそれ、黄ばまないのかな……?


とはいえ私より経験のある先輩が言うことです。やってみなくては結果は分かりません。あと黄ばんだところで、うちの襦袢はまだ化繊だし。3000円もあれば多分買い替えができます。惜しくない、惜しくない。

ここで実験しておけば、将来、絹の襦袢を買った時に安心して扱えるぞ。


そう思って、最近思い切って実験中です。

着物を着る時には、襦袢かワイシャツを下に重ねるようにしています。

襦袢の時は、着物と並べて一晩中干しするだけ。

半衿が汚れていないようだったら、そのまま畳んでしまってしまう。汚れていたら取り替える。

このところ寒くてあんまり汗もかかないので、半衿の汚れはまだまだ目立ちません。確かに、毎回洗わなくても大丈夫そう。


ありがたいことを教えてもらったなあと、襦袢を畳むたび先輩に心の中で感謝するのでした。








これは余談なんですが。高校の時に古文の先生から聞いた平安こぼれ話をひとつ。

平安時代は、現代以上にお風呂に入るペースがゆっくりだった話はもはや有名かと思います。占いで日取りを決めていたらしいですね。

理にかなっている部分もあるとは思います。

お湯を沸かすための燃料は限られているし、当時の女性(貴族の話。平民のことはちょっとわからない)は髪が長く、乾かすのが大変。

そうなると湿った髪から冷えていき、そのまま体ごと冷えて体調が………さらには命が……危ない! ということにもなったのでしょう。

マラソン選手が給水所で頭から水を被っているのを見ると、「頭を冷やす」という行動の効果が伺えます。


生命を永らえさせるためという目的があったとはいえ、平安人が現代人より汗をかかなかったわけではありません。

ある平安貴族が好きな女性の寝床へ夜這いに入ったら、ほおを寄せた女性の襟元から酸っぱい臭いが漂い、みれば最初は白かったはずの着物の襟が真っ黒だった………

ということが、あったとかなかったとか。

私は大いにありそうだし、なんなら日常的だったんじゃないかなと思っています。てか普通に衛生面が心配だ。出産が現代以上に命懸けだったのは、医療の技術や知識の度合いの加えて衛生の問題もあったのでは………? と最近考えています。現代に感謝!

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