パキッとした色のアンティーク着物の理由をさぐる
「アンティーク」という言葉に惹かれて古い着物を見に行くと、現代の作家ものとは違うパキッとした色合いや派手な柄に驚かされます。
あれも、これも、かわいい。
でも、着て歩くにはちょっとお顔が負けちゃわないか……?
私は一重のお目目で、いわゆる和顔。
ゴスロリよりも振袖の似合うお顔です。
そんな私でも「顔が負けそう」と思ってしまう、昔の着物たち。
昔の方こそ和顔の人が多かったかもしれないのに、どうしてこんなに派手な色柄なんだろう?
まだまだ化学的な染料とかも少なかったんじゃないの? どうやってはっきりした色を出しているんだろう?
アンティーク着物に対する疑問はつきません。
その色の派手さについて、一つ謎解きの役に立ちそうな知見を得ました。谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」から。
https://www.youtube.com/watch?v=U0eHRyACVQ8&list=PLu9WHt6Fk3O63HfSu-Cwm2tWUUShTGCeg
(↑「陰翳礼讃」を朗読している動画です。よかったら見てね!)
西洋建築に比べて日本間は暗く作られる。
着物も、茶道具も、漆器も、日本に古来から存在する「陰影」の中で取り扱われることを想定して見ると、その派手な色合いが影の中で程よく見えることに気づく……というような趣旨のことが書いてありました。
非常に納得する私。
リサイクルショップに行けば、これまた派手な色柄の和食器がたくさんあります。
一つひとつはかわいいけれど、全部を食卓に並べたらくどくなってしまいそう。
またあの形の独特さは西洋の食器にはないもので、慣れないうちは収納の仕方にも困ってしまいそうです。
でもでも、そうではなかった。
リサイクルショップや、品物を連れ帰ってくる自宅は蛍光灯やLEDの光で照らされて、和のものにとっては明るすぎるだけだったのです。
例えば、蝋燭の灯り。
あるいは寝室の一角を照らすような間接照明。
それらの中に、和のものを置いて眺めてみる。
「こういう光源は昔、行燈だったんだよな」と考えながら。
そうすると、はっきりした光の下では派手すぎると感じられた色合いが、とっても上品に映るから不思議です。
「あ、素敵」と心を動かされる瞬間がはっきり分かるほど。
ありがとう谷崎さん。「陰翳礼讃」を書き残してくれて。
日本のものが好き、であっても、どういうふうに愛でればいいのか分からないものも、ある。
「陰翳礼讃」は、その迷いにそっと指針を与えてくれたのです。




