イングランド王への手紙…病の少年王からの手紙…リチャード獅子心王の父王への手紙
「聖地のクリスマスか」…リチャード王子、後のリチャード獅子心王が呟く
リチャード獅子心王の曽祖父フルクが
エルサレム王国の王だった…
フルクは二人の女性と結婚して
二つの王家の祖先になった
………
…前妻の子供を欧州に残して聖地に行き、エルサレム王国の王になった…相手はエルサレム王国の女王
再婚相手の子供の末裔が…今の少年王、病の王
………
欧州に残された最初の妻の子供達
先に死に別れた最初の妻
子供達がアンジュー家の祖となって
ヘンリー王、リチャード獅子心王に繋がる。
◇ ◇ ◇
クリスマスが近い雪の日に
若いリチャード王子は誰かと話をしていた。
イングランドを支配するヘンリー王
それがリチャード獅子王の父王
元は南欧のフランスにもある広大な領土
アンジュー家の当主
後世にはプラジネット朝、アンジュー帝国とも呼ばれた。
「…父王の処に聖地、エルサレム王から要請の手紙が来たそうではないか」
「…はい、リチャード王子」
「曽祖父…フルク王が
エルサレムの女王と再婚して
アンジュー家の血縁者が今の王だ
…確か、俺より4つ程、年下だったか」
「重い病にある若いボードワン4世」
◇ ◇ ◇
エルサレム総大司教ヘラクリウスと
テンプル騎士団総長アルノー・ド・トログ
病院騎士団総長ロジェ・ド・ムラン
王国の最高権威者たちが書状を預かって
ヘンリー王と謁見をしていた。
「ヘンリー様にエルサレム王になって頂きたいと
我が王は…」
「サラディンをはじめとするイスラムに王国は脅かされ、
賢王で勇敢な我らがボードワン 4世陛下は
残念ながら…重い病なのです」
「エルサレム王国の王冠をヘンリー様に託す事も
ヘンリー2世王様にエルサレムに
ぜひとも来ていただけるならば…」
彼らはヘンリー2世に対して
以下の切実な支援、軍事支援を要請した。
サラディンに対抗するための兵員と資金の援助を望んだ。
ヘンリー王は王冠は断り、騎士達と資金を贈る事になる。
◇ ◇ ◇
「聖地のクリスマス…俺は見てみたい」
聖地に行った事がある母アリエノール王妃からも
沢山、御伽話のように聞いて育った」
「子供の頃に聞いた御伽話の幾つか
アーサー王伝説に聖地エルサレムの話…
勇敢な曽祖父フルク王」
「王子様」
「父王は勇敢で優秀な王だが
国内は内乱騒ぎに妻で俺の母のアリエノール王妃は夫に反旗を翻した」
「平時なら…エルサレム王の王冠にも興味があったろう」
「母方の叔父アンテオキア公レーモンも戦死したが十字軍国家の一つを
治めていたというから」
「そうですね~その事が原因で…」思わず黙るシオン
「知っている…叔父レーモンを見捨てたせいで戦死した
母アリエノールは最初の結婚相手のフランス王と離婚した
今の俺の父王と再婚した」
「シオン、久しぶりに会ったが、お前はエルサレム王のもとに居たのか」
「えぇ~まあ、イングランドや南欧の美味なご飯を食べたら、逞しいアリエノール王妃様に捕まらないように
特使の方々と帰りますので~」
「相変わらずだな」
「はい、王子…いつか聖地で会えるでしょうね」
「ああ、この堂々巡りの泥沼の内乱騒ぎが治まったらな
奇跡の戦いの顛末を俺より年下のエルサレム王から話を聞きたいな」
「まあ、ゆっくりクリスマスにはミサがある
静かに祈りを捧げようか」
黙ったまま、シオンは微笑する
リチャード獅子心王が聖地に辿りつきサラディンとの戦い。
エルサレム王と会う事のない…
若きボードワン四世が旅立った後の話
◇ ◇ ◇
他サイトにもあります




