6.素敵な彼とどこまでも
「レオン……、ああっ、レオンッ……」
自分の意志とは関係なく動いてしまう体の感覚に振り回されている間に気が付けばわたしは着ている物を全部脱がされて、産まれたままの体をレオンに晒していた。彼もお日様みたいな色の均整の取れた体をわたしの前に惜しげもなく晒して、逞しい腕でわたしを組み伏せている。眼鏡がなくてぼやけた目でも彼の顔がよく見えた。
「はぁっ……嘘……かっこいい……♡」
「どうしたの?」
「か、顔見ないでっ、今更あなたがすごくかっこいいって思ったら本当に恥ずかしくなってきたの……」
わたしはとうとう顔を両手で覆ってしまった。お酒が入っていない状態でのこういうことがこんなに恥ずかしいだなんて。
「……あんまりドキドキさせないで。そんな可愛い反応ばかりされたらがっついてしまいそうだ。君はまだそんなに慣れていないんだから、もっと大事にしたいんだよ」
やさしく、なのに激しく。わたしはレオンというひとの抱き方を知っていく。こんなに気持ちいいんだ。わたしのことを好きで大事にしてくれる相手との交わりってこんなに気持ちいいんだ。わたしは泣いてしまっている。気持ちよくて、嬉しくて泣いてしまっていた。こんな、こんなふうにされたらわたしだって……。
「はっ、はっ、はっ、リネット、好きだっ、好きだっ、」
「わ、わたしも、レオン、わたしも、あなたのこと好きっ」
「ほ、ほんとう? 君もオレのことを好きって思ってくれるの?」
「好きっ、好きっ♡ 好きなのっ、好きになっちゃうっ……♡♡」
わたしがレオンをちゃんと知ったのはほんの少し前。だけどレオンはずっとわたしのことを好きだった。地味なわたしはそんな風に想われたのは初めてで。
それだけで、わたしはレオンのことを好きになってもいいんじゃないかって思った。そう思ったらもう止まらなくって。
「好きだっ、リネットッ! オレの想いを受け止めてくれっ!」
「ああっ、レオン、来てっ! 好きっ、好きなのっ!! はあぁあっ……♡♡♡♡」
レオンの熱い想いのたけを体中でじんわりと感じながら、わたしは彼の体をしっかりと抱きしめ続けていた……。
「え! その眼鏡どうしたの!? すごく素敵!」
次の日、レオンにもらった眼鏡をかけて職場に出勤したら、目ざとい同僚たちに囲まれてしまった。レオンにもらった湿布は凄く良く効いたので、エリックに殴られた後は綺麗に治っていたため特に誰にも何も言われない。
「先輩のセンスじゃないですよね? もしかして誰かのプレゼント?」
「あ、もしかして伊達男さん!?」
「うわっ! 顔真っ赤!」
「マジなの?」
「きゃー!」
「ど、どうだっていいじゃない! ほらほらお仕事お仕事!」
わたしはその日、ものすごく恥ずかしくなってしまって上がった体温をなんとかしたくていつも以上にお仕事に励んだ。そしたら、昨日わたしをでろでろに甘やかして何度も泣かせた伊達男のレオンがニコニコとギルドのドアを開けてやってくるのが見えた。何事もなかったかのように爽やかにニコニコしてっ、わたし、昨日のせいで体が痛いんですけどっ!
「ねえ、今日も帰ったらデートしよ」
ダンジョン探索の申請をしながら、彼はまたスマートにわたしのことを誘ってくる。ばちっと色っぽいウィンクをされただけで、わたしは昨日の蜜事を思い出して体が疼いてしまった。もうインキュバスの虜。このままどんどんえっちな女になっちゃったらどうしよう。
「……わかった。気を付けて行ってきてね」
「ふふ、それいいな。なんか夫婦みたいで」
「気が早いっ! 昨日付き合い始めたばっかりでしょ!」
「ははは、そうだね。でもいつかはそうなりたいと思ってる」
「え……今なんて」
「じゃああとでね、行ってきます」
その日のお昼時、同僚たちの噂話で昨日エリックが冒険者をやめる手続きを申請していたという話を聞いた。だけどわたしは素敵な彼氏がいる生活が始まったことを実感することに忙しかったので、そうなんだ、と相槌を打つだけにしておいた。
「おまたせ、じゃ、今日はどこにいこうか」
「あなたと一緒なら、どこでも最高っ♡」
仕事が終わって外に出ると、新しい眼鏡で覗く街はとてもキラキラ輝いて見える。わたしは迎えに来たレオンのかっこいいコートの腕を抱きしめ、賑やかな街中を二人で歩きだした。
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