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BEANS入会試験編 ――肆

「神守、どうして……ここに?」

 水森が問うと、

「話はあと。それと、私だけじゃないよ」

 言われて水森が”魔”の方を向くと、そこには雷光を纏い、”魔”と闘う”マジックナイト”の姿があった。

「二人とも……俺、」

「いいってば。それより、ちゃっちゃとあいつ片付けるよ」

 神守はそう言い、地を蹴って飛び上がった。その背中から純白の羽を生やし、ふわりと羽ばたいて空高く飛翔する。

 一方の”マジックナイト”は、今度は炎をまとって”魔”の腕を切断し、断面を焼くことで再生を遅らせながら闘っていた。

「マジくん!」

「ああ」

 神守の呼びかけと同時に、”マジックナイト”は剣を引き、”魔”から飛び退った。

 すぐに追おうとする”魔”だったが、神守の能力がそれを許さない。

「”大地神(ガイア)”!」

 叫んだ直後、神守の背後に神の影が揺らめいた。

 大地を司る神、大地神(ガイア)である。

 神は大地を割り、”魔”がそれに両足を突っ込んだ瞬間に大地を閉じてみせた。それによって、”魔”の完全なる足止めに成功する。

「マジくん!マメくん!決めちゃって!」

 神守の叫びに応えるように、”マジックナイト”が叫んだ。

「荒れ狂う風よ。全てを裂け!”暴嵐(テンペストストーム)”!」

 彼の持つ剣先から放たれたすべてを引き裂く嵐が、”魔”を襲う。

「”マーメイド”!」

 ”マジックナイト”が叫び、水森は”魔”めがけて創り出した氷刀(アイスブレード)を振り下ろした。

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 ガキィィン!

 金属が激しくぶつかるような音がする。あたりに激しく火花が散り、光が爆ぜる。

 そして、……ついに、”魔”の頸を斬り落としたのだった。


「……再生、しない?」

 水森は恐る恐る、”魔”に近づく。”魔”はピクリとも動く気配がなく、再生を始めることもなかった。

「A(ランク)を……倒した」

 水森の独白に、”マジックナイト”は笑い、

「よく持ちこたえたな、”マーメイド”」

 そう言って、水森の肩に手を置いた。

「ほんとだよぉ!通信機から急に警戒心号(アラート)が来たときはもうどうなるかと思ったんだから!」

 神守もそう言って、頬を少しふくらませる。

「……警戒心号(アラート)?」

 水森が首を傾げると、

「ああ、警戒心号(アラート)っていうのはね、もし通信機が壊れたりした時に、持ち主の危機を知らせるために全員の通信機に発信される警報みたいなものなの。それのお陰で私達も駆けつけられたってわけ」

「そうか。……ふたりとも、本当にありがとううな」

 神守の説明を聞き、水森は改めて頭を下げた。

「いやいやちょっと、顔上げなって!大したことはしてないしさ!」

「そうだぞ、”マーメイド”。というより、これから共に任務をこなしていくんだ、当然だろう」

「いやそうは言ったって……」

 言いながら、水森は顔を上げる。


 信じられないものを見た。


 ”魔”が起き上がり、拳を振り上げているのだ。……恐らく、神守に向かって。


「……神守!!逃げろ!」

 咄嗟に叫ぶ。


「――え?」

 神守は不思議そうに振り向き……。


 べしゃっ、という音とともに、”魔”の右拳に潰された。


 *    *    *


「……稲生様、これは」

「あらら、油断しちゃったね、”コール”は」

 BEANS本部では、稲生とその傍に控える男が、モニターを前に問答をしていた。

 モニターに写っているのは、水森たちの姿、”魔”の姿、そしてたった今起こった惨劇である。

「稲生様、助けには行かれないので?」

「当然だろ」

「……稲生様、お言葉ですが。新人が一人、亡くなったのですよ?なりふり構っている余裕はございませんでしょう」

 男は厳しい目で、稲生を見やる。

 男の名は宗安洋。コードネーム”カグツチノカミ”。稲生の執事にして、BEANS入会2番手の実力者であった。

「だーいじょうぶだって。ほら見てなよ、洋」

 宗安の厳しい言葉をものともせず、稲生はモニターを見つめた。

「すぐに分かるさ。……多分、うちの新人たちは、こんなにやわじゃないよ」


 *    *    *


「ああああぁぁ!!!」

 助けられなかった。自分は救われておきながら、救えなかった。

「嘘だ嘘だ嘘だ!!」

 水森はただ叫ぶ。”魔”は頸を失ったまま、ゆらりと振り下ろした拳を再び振り上げる。拳が先程まであった場所には、さっきまで神守だったものの、無惨な姿があった。


 ……そのとき。


 ”魔”の振り上げた右腕が、勢いよく弾けた。


 雷光が激しく瞬く。雷光をまとって立つのは……”マジックナイト”。

「……ふざけやがって」

 雷光が、彼の怒りに呼応するように激しく明滅する。

「お前だけは……絶対に、ここで殺す」

 そう宣言した刹那、”魔”の四肢が爆ぜた。

 すぐに”マジックナイト”の姿が消え、残光だけが”魔”を激しく斬り刻んでいく。

「……マジックナイト」

 水森は地に膝をつき、ただその戦いを眺めることしか出来なかった。

(……助けられなかった。助けられなかった)

 ――俺が、弱いから。

「……神守」

 おれが、よわいから。

 

《力が、欲しいか?》


 力なんて無かった。

 俺は……。


 



「……”死神(タナトス)”」


 唐突に響く、凛と澄んだ声。

 同時に、”魔”の肉体が、激しく爆ぜた。


「……んなっ!?」

 ”マジックナイト”も飛び退って防御姿勢を取る。襲い来る爆風をどうにかしのぎ切ろうとする。

「がっ!」

 一方の水森は、ただ座り込んでいたために、その爆風をモロに喰らい、後ろに吹っ飛んだ。

「”女神(フレイヤ)”!」

 聞き馴染みのある声が再び響き、水森を柔らかな感触が受け止めた。……さっき受けたのと、同じ感触。


「二人とも、ごめんね、びっくりさせちゃって」


 そんな事を言いながら、土煙の向こうから現れたのは、……まさに、神守だった。

 

お待たせしました......。

3話を公開したときに週一で投稿すると宣言していたにも関わらず一ヶ月以上消えておりました。申し訳ありません。私に週一更新は不可能でした。なのでこれからも不定期投稿で続けさせていただきます。気長にお待ち下さい。

それにしても、ファンタジー小説というのは書くのが難しいですね。私は1人称視点の方が書くの得意なのですが今回三人称で挑戦してみておりました。でもそろそろ限界を感じ始めています。次回以降突然一人称視点になったらそういうことだと察してください。

コメント等励みになりますので良かったら!これからもBEANSをよろしくお願いします!

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