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 学校に行くと、珍しく村野は何も言ってこなかった。代わりに、他の子が一緒に遊ぼうと昼休みに誘ってくれた。

 お姉ちゃんの手術は成功して、半年後に久しぶりに家に帰ってきた。前より早く帰れるようになったお父さんは食器洗いの当番をして、お母さんは毎日朝ごはんを作ってくれるようになった。

 歳をとってよく眠るようになったトラキチに、あれは僕らだけの秘密だねと、今でも時折話しかける。

 街を歩いていると、背中に卵をくっつけた人をたまに見かける。黒い目のついた卵は、その人たちに細い手足でしがみついている。卵を負ぶる彼らは一様に、不幸を背負った暗い表情をしている。

 あのおじさんは、今もどこかで、卵を育ててくれる人を探しているんだろうか。ぼくの育てた卵も、誰かの背中にくっついているんだろうか。

 僕は、今でも毎年、秋祭りに足を運んでいる。

 だけどどれだけ探しても、あの屋台は僕の前に二度と姿を現さない。

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