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「なんで俺がコールセンターで働かなきゃいけねえんだよ」


「しょうがねえだろ? そうでもしないと食っていけないんだからよ」


 小汚いオフィス。声を荒げる俺に、相棒の狩野が肩をすくめる。


 肩まで伸びた長髪を払いながら他人事のように開き直る狩野。全く悪びれない姿を見ていると、自称イケメンの顔に一撃入れてやりたくなる。


 都内の事務所で俺は狩野と今後について話し合っていた。今後とは言っても、今の会社じゃまともな給料が払えないから、バイトをしないとダメだという話なだけだが。


 社員が社長の狩野と副社長の俺しかいないフェニックス・リスタートという大仰な名前を付けられた会社は、世間からつまはじきにされた奴らを社会復帰させたり、心に追った傷をケアする目的で設立された。


 別にどこかのヤクザが隠れ蓑に使うために作ったフロント企業やNPOの類ではない。設立の端緒は100%の善意だ。何を血迷ったのか、一時の気の迷いで社会貢献したいなんて思ってしまったのが運の尽きだった。


 志はあっても技術や金が無いと善意は形にならない――狩野と仕事をしてきて、そのことを嫌と言うほど思い知らされてきた。


 思えば、俺はどこから間違えていたのだろう?


 今、俺がこの状況に追い込まれた経緯ついては、それなりに深い事情がある。それを説明するためには過去に遡る必要がある。


 俺の黒歴史を聞きたいなら聞くがいい。誰がそんなものを聞きたがるのかとは思うが、得てして人間は他人の不幸話という奴が好きだ。俺の自虐で暇つぶしが出来るなら、辛酸を舐め続けた俺の人生にもいくらか意味があったのだろう。


 これは俺の黒歴史――

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