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ずれによるモテ  作者:
3/3

後編

 順調に交際というものを続けています。私からは以上です。あ、それで終わったら駄目ですよね。続けます。

「佐藤さん」

「はい?」

 今日も会社帰りに晩御飯を一緒に食べています。食べ物の好みは合っているし、食事中も決まずくなることは無いし、正面には麗しいお顔でとても幸せです。えへへ。外見には一切出ていないでしょうが、デレデレしている私に、キリっとした顔で紅さんが提案します。

「名前で呼んでも良いですか!」

「はい」

 勿論です。

「華絵さん」

「はい」

 うふふ。

「あ、俺のことも紅って呼んで下さい」

「はい」

 あ、これは期待されていますよね。頑張りますよ。ほぼ、「はい」しか言っていない私ですが、やる時はやります!

「紅さん」

「はいっ!」

 とっても良いお返事です。生き生きと元気いっぱいで、素晴らしい。

「あの、その。・・・俺のこと好きですか?」

 またもじもじと可愛くなって、少し自信無さそうに聞かれます。!その姿たるや、衝撃が走る程です。一撃必殺ですよ。私は即座に完敗です。お見事!

「はい」

「ええっと、俺も、・・・好きです」

 わお。言って貰っちゃった。

「はい」

 私も言うべきでしょうが、心の中では「好きだー!!」と叫べますが、これから精進します。今は即答で許して下さい。そんな心の中を読んだかのように、紅さんの話は続きます。

「俺達、両思いなので、結婚を前提としたお付き合いへ、移行をお願いします!」

「はい」

 わ。両想い。ええっと、両想いではあったのか。仲良くなろうって言われたし、でも、結婚!両想いの後に結婚!そんなことが私に起こりえるとは!!はー。幸せ。わー。ビックリした。えへへ。嬉しいです。相変わらず私の返事の平坦さよ。心の中はお祭りとパレードが同時開催な位に凄いよ。

「良かったー!!」

 とっても嬉しそうで、私も安心しました。今こそ聞けるんじゃない?

「私達の関係は」

「婚約者になったね!御両親に御挨拶に行かないと!何時が良い?」

 こん!やく!しゃ!聞きました?驚きの響きです。そう、婚約者になったのです。それは素晴らしいことで余韻に浸りたいですが、婚約者になる前はどんな関係だったのでしょうか?もう一度聞く勇気はありません。永遠の謎となってしまいましたが、幸せだからいいですよね?また、何時か聞けたら聞きましょう。

「紅さんの御両親にも」

「ありがとう。家は何時でも大丈夫」

「両親と連絡をとって日時を連絡しますね」

「うん。あ、俺、今から緊張してきた。手土産、何が良い?御両親は何が好きかな?」

 うっとりとした表情が似合いますねー。そこから一転した慌てよう。紅さんは意外と感情が忙しくて可愛い人です。うーん。流石に親に紹介したら、聞かれると思うんですよ。私も疑問なあのこと。

「両親に好き嫌いはありませんが、私と好みが似ているので、いつも紅さんから頂くあのお菓子の詰め合わせが良いと思います。それと」

「分かりました。華絵さんも気に入って頂けているんですね!嬉しいです。あ、話を遮ってすみません。それで?」

「・・・私の何処を気に入って頂けたんでしょうか?」

 紅さんの顔が文字通り、真っ赤に染まります。ん?いきなり逆上せですか?と、そんなボケはさておき。大丈夫でしょうか?そんなに恥ずかしいこと?え?何?何なの?

「俺、一緒にいられるだけでこんなに嬉しくて、幸せで、もっと一緒にいたくなった人、初めてで!恥ずかしー」

 朱に染まった顔を、これまた同様の手で覆い隠しますが、耳も首もです。照れ具合が存分に見えていますよ。言われた私の方が恥ずかしくないですかね?相手がこんなにも恥ずかしがると、平常心。大体、私はそんな感じですが・・・。それが良いんでしょうか?反応の乏しい私を相手に、そんなに思って下さるとは!有り難い。これは紅さんを手放せませんよ、私!!勿論だ!私と一緒にいるだけで蕩けそうな位に幸せになってくれる人なんて、とっても貴重!逃すな、私!!合点だ!

 こうして、何とも夢のように結婚まで漕ぎ着けてしまった私が、思ってもみない秘密に驚くのはまた別の話。まあ、別に悪いことでも無かったんですけど・・・。

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