表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ずれによるモテ  作者:
1/3

前編

 私には仲の良い友達が三人いる。

「ねえ、これってどこの話なの?」

「ええ?都市伝説ってやつじゃないの~?」

「きっと、ごく狭い範囲でしょう?」

 いえ、本当ですよ。おモテになる、三人さん。

「ねえ、華絵はなえもそう思うでしょう?」

「ん?うーん。うううん」

 少なくともとてもお綺麗で、おモテになる三人からは程遠く、私にはバッチリ当てはまるよ。

「「「彼氏、彼女ができたことがない人が半数以上なんてね!!!」」」

 ええ。そうですね。私は一度もないですよ。この辺りだけ、統計学的に狂っていますが、誤差ですか?

 ネットでニュースを見たのか、何かのトピックか魅桜みおうが話題にすると、信じられないように薫姫かおるひめが同意し、綺羅良きららが違う世界の出来事だと話す。現実です。皆さんのお隣にある現実です。なんなら、目の前にありますけど?

 でも、そこは見栄を張りたい私。私がそうだと手を上げることはできないでいた。いいよね?嘘、ついてないし、黙っているだけだし。ね?ね?モテる人たち相手にモテない自慢なんて悲しすぎるよね・・・。

 

 声をかけられて、昨日の四人で、カフェでお茶してた時の会話を思い出す。

「佐藤さん、このテーブルいい?」

 私の周りで何が起こった?彼氏いない歴を鮮やかに更新中の私にだ。職場にこんな素敵な人いた?結婚指輪していない人なんていた?しかも、私の名前を知っている?いやいやいや。有り得ないことばかりが続いているよ。

「あ、どうぞ」

 私ー!!もっと愛想よく、いや、彼女いるかもしれないし、ただ指輪していないだけかもしれないし。落ち着け。

「助かった。ありがとね。でも、今日の社食、混んでるね。何かあったっけ?」

「いや・・・」

 すらりとした長身に穏やかな受け答えで、顔の良いあなたがここにいるせいじゃないですかね?今日の社食が混んでるの。

「不思議だね。でも、座れて良かった。佐藤さんはお弁当?」

「ああ、はい」

「あ、ごめん。俺、しゃべりすぎ?」

「いえ。大丈夫です」

 気の利いたことは返せませんが、それでも良ければなんて言えないなー。

「そう?良かった。ねえ、佐藤さん、その卵焼き美味しそうだね。何、入っているの?」

 これ、遠回しにくれだよね。

「たらこと小葱です。良かったら、おひとつどうぞ」

「わー。どうも。遠慮なく。!美味しい。美味しいよ」

 綺麗な箸捌きで卵焼きを摘まんでいく。

「それは良かったです」

「ご馳走様でした。忙しなくて、ごめんね。じゃあ、俺はお先に」

「はい」

 早。あんなに話していつの間に食べ終わってたの?色々、凄いな。


 何故か私の名前を知っている彼、くれないと書いてこうと読むそうだ。二回目に絡んできた(あれ?絡んできたなんて言っちゃって私、調子にのっている?大丈夫かな?)時に、自己紹介してくれました。流石の私も不信感がね、ちょっと出ちゃったみたいで。いかん、いかん。「和を以て貴しとなす」を信条としているのに、気を付けないと。

「佐藤さーん。今日のお弁当も美味しそうだね。あ、ここいい?」

「どうぞ」

 私、今だったら凄く修行が捗ると思う。それぐらい、無我の境地に近付けているんじゃないだろうか。しかも「どうぞ」の一言でお弁当のエビフライと、席の両方を了承してしまっている!これ、逆に拙いかな。詐欺には気を付けよう。

「わ。どっちもありがとう。あ、俺いつも貰ってばっかりだよね。今度、何か差し入れするよ」

「お気遣いなく」

 クール。私、大物感出ているんじゃないでしょうか?まあ、今度は永遠に来ないでしょう。分かっているから、気にしなくていいですよ。話しかけて貰えるだけでも、万々歳ですから。でも、なんでだろ?

「そんなこと言わないで。甘い物は好き?」

 粘られています。甘い物は勿論、好きです。ここは正直に言っていいでしょうか。好みだけなら、見返りを求めている下心は出ないですよね。これだけ、お洒落で気遣いできる人ですから、凄いお菓子を貰えそう。駄目、駄目。期待しすぎるのはよくない。あれ?期待が色恋から食欲になっちゃっているー!

「好きですよ」

 私の口―!!正直にペロっといきましたね。しかも好きって。いやん。

「じゃあ、今度、俺のお薦め持ってくるね。是非、食べて!」

 私を食べてもできるとはやるな。しっかり、私。そんなことは言っていないよ。

「はい」

 そんなことを考えているとは思わせない平らな態度。私、やるな

「あ、佐藤さんまたまた忙しなくてごめんね。俺、行くわー」

「いってらっしゃい」

 きゃ。新婚さんみたいだった。言っちゃった。ひゃー。妄想、捗るわー。これは若返るね。あれ?名前は聞いたんだけど、どこの部署の人なんだろう?忙しそうだから営業かなー?あれれ?記憶力は減っているかも。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=405724188&size=88
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ