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鳥籠。



 フル装備で全員外に出る。言うて三人ともほぼ同じ格好なので、特に言及する事もない。


 強いて言うなら、お母さんの左腰にブロードソードが剣帯で吊ってある事と、真緒の左手にライトバックラーが装着してあるくらいかな。


 私もお母さんも真緒も、全員メインウェポンが長物なので手に持って肩に担ぐスタイルで横並びだ。なんなら一番無個性なのは私かな?


 いや、大丈夫。青く燃えるなんて個性はユニークでしょ。のっと無個性。斧しか持ってないけど、その斧が一番ユニークなんだよ私。落ち着け…………。


「準備は良い?」


「…………ええ」


「ちょっと、こぁい……」


 いよいよ本番と言う事で、お母さんは気を引き締めてる。真緒も怖がってるけど、「でも、がんばるねっ」と前向きだ。可愛い。


 二人の意志を最終確認して、私達はダンジョンに向かう。


 ロビーの内部にある、鳥籠みたいな施設がそれ。


 (かつ)て私が落ちた場所。そしてナイトが死に、私がナイトに救われた場所。


 地面にぽっかりと空いた穴は、元からそうだったのか、後から人類が削ったのかは分からないけど、綺麗な真円だ。その上に鳥籠にしか見えない鉄柱が覆い被さってる。そんな見た目をしてる。


 鳥籠も四角いケージタイプじゃなく、天辺がすぼまって行く円柱タイプの物。クロッシュみたいな奴。


「あれって、私が落ちた時からずっとあの見た目?」


「……そうね。そう、そのままよ」


「まお、あそこすきじゃない。おねーちゃん返してくれなかった、ひどいばしょだもん」


 何気に私は自分が落ちたダンジョンを外から見るのは初めてだけど、二人は私が彷徨(さまよ)ってた三ヶ月で何回も通ってる。ダンジョンに向ける視線が鋭くて硬い。


「ほら、そんな顔しないでよ。今日からはあの意地悪なダンジョンを好きなだけ殴れるんだからさ。ヒートゲージを抑える為にモンスターを倒すって、つまりダンジョン本体を殴ってるような物じゃん?」


「…………なるほど、そう言う考え方も出来るわね。じゃぁお母さん、ものすっごく張り切っちゃおうかしら」


 物凄く張り切って欲しい。じゃないと銀級行けないし。


 て言うか、二人が銀級に行ける実力にならないと、私は銀級の攻略諦めるからね。


 家族を助けたくて銀級に行くのに、銀級行って家族が死ぬとか本末転倒とかってレベルじゃない。二人が育たないと私は諦める。笹木さんには悪いけど、私は私の家族を守る。


 斜め方向に決意を固める私は、お母さんと真緒を連れてダンジョンに向かう。


 クロッシュみたいな鳥籠型ダンジョンは、その鳥籠にしか見えない鉄柱の隙間から穴の中に飛び降りるスタイルらしく、どこのダンジョンも大体この形らしい。


 帰還する時はダンジョン入り口付近、半径10メートル程に『転送』されるんだとか。今もダンジョンの周りで地面が光り、アタッカーが帰って来てる様子が見える。なんともファンタジーな光景だ。


 そして、そのアタッカーが帰還する鳥籠周囲10メートルまで含めて『ダンジョンの一部』として、丸ごとフェンスで囲まれてる。

 

 ダンジョンを囲むフェンスにもフラッパーゲートが二箇所ほどあって、そこでダンジョンの入退場を管理してる。混雑しない様にか、ゲートの位置は真反対に設けられてる。


 入口側のフラッパーゲートは外側に列が並び、出口側のフラッパーゲートには内側に列が出来る。分かり易い。


 もう既にダンジョンアタッカーって仕事が一般化してて、様々な人がゲートに並んでる様子が見える。


 管理区の外壁では列なんて無かったけど、こうして見るとやっぱりダンジョンアタッカーの数が多い。


「ふーん、日本でも二十箇所以上に分散してるはずなのに、こんなに人が居るんだね」


 入場ゲートの列に三人で並びつつ、私は自分なりの感想を口にした。するとお母さんが後ろからアンサーをくれる。


「東京だからじゃ無いかしら? 地方のダンジョンならもっと空いてそうよ」


「あー、なるほど。住民の母数が違うのか」


 納得して、静かに並ぶ。チラチラと見られるけど気にしない。


「おねーちゃん、ナーちゃんは呼ばないの?」


「ダンジョンの中で呼ぶよ。今呼ぶとチラ見してる人達が騒ぎそうだし」


 待つこと十分ほどで、私達の番が来た。


「お待たせしました。アタッカーライセンスか、身分証の提示をお願いします」


 受け付けは女性ってルールでも有るのか、またもお姉さんだった係の人にライセンスを提示する。この時に必要なのは更衣室を借りた人のライセンスのみで、全員がライセンスを提示する必要は無い。


「確認致しました。鍵はお預かりしますか?」


「お願いします」


 ロッカーの鍵も纏めて繋いである更衣室の鍵をスタッフさんに渡す。


 帰りにゲートで鍵を返してもらうらしいけど、どうするんだろうと思って見てたら、よく見るとまた別のスタッフさんが入場ゲートと退場ゲートを往復して何か運んでた。多分アレが鍵なんだろう。


「うーん、変なところでアナログだなぁ」


「でも確実よ?」


「そんなもんかぁ」


 ボソボソと感想を呟きながら入場した私達。もうダンジョンとの間に遮るものは無い。


「…………ふぅ、最終確認は終わってるしね。今更『準備は良い?』なんて聞かないし、覚悟の有無なんて言わずもがな」


 さぁ、始めるよ。


「私達のダンジョンアタックを」



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