表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/124

人集りの武器選び。



「二人とも、良い? まず初心者が選ぶべき武器のポイントから教えて行くから、ちゃんと覚えてね」


 アタッカーズショップ・コルティオ練馬店の中で始まる、蒼乃フラム式ダンジョン攻略のすゝめ。


「ふふ、そうね。じゃぁ優子先生にしっかりと教わりましょうか」


「はーい! おねーちゃんの言うこときくー!」


 お母さんも真緒も、しっかりと聞いてくれる。柔らかい雰囲気ながらも、巫山戯たりはしない。浅田家はダンジョンの怖さを誰よりも知ってるから。


 そして、何故か、いや理由は分かってるのだけど、商品選び兼ダンジョン授業をする浅田家を囲む、見知らぬ人々。


 うん、私が蒼乃フラムだと言うことが地味にバレつつある。

 

 そして私がダンジョンに関する知識をこうやって披露してるのもバレて、コルティオに装備を買いに来た現役アタッカーさんや、これからアタッカーを始める初心者さんまで、その情報を得ようと周りで聞いてるのだ。


 まぁ、うん。邪魔しないなら気にしない。私の持論を披露するだけで生存率が上がるなら、それは喜ばしい事だから。


「まず、私が何故、ダンジョンを生き延びれたか。これは単純に蒼炎に覚醒したからだけど、じゃぁ蒼炎はどんなアドバンテージを私に(もたら)したのか」


「…………それは、えっと、火力?」


「そう。お母さんの言う通り、私は蒼炎っていう圧倒的な火力を得た事で、相当有利にダンジョンを戦い抜いたね」


 でも、本当にそれだけ? 私は二人に問う。


「本当に火力が必要なだけなら、別にスレッジハンマーとかでも良いよね? 手に持って、魔力さえ通してるなら質量兵器は十分な火力を叩き出せるんだし」


「そうねぇ…………」


「んーと、えっと……、ずっとつかえる……?」


「そう! そうだよマーちゃん! マーちゃんは賢いねぇ!」


 すかさず私は真緒をワシャワシャと撫でつつ、答え合わせをする。


「蒼炎スキルが私に齎した、一番大きなアドバンテージ。それは継戦能力。そして次に、間合い」


 蒼炎は魔力を奪うドレイン効果を持ってる。攻撃対象が居て、使用量と吸収量の収支を崩さなければ、私はこの高火力スキルを永遠に使い続けられる。


 わかり易く言うと、私は弾が減らない高火力兵器を使い放題の状態だったんだ。


 政府がダンジョン攻略で銃火器の使用に困ってる間、私はスキルって名前のバズーカ砲を持ってダンジョンを攻略していた。


「つまり、何が言いたいかっていうとね? ダンジョンに持って行くべき武器は間合いと、火力を意識して選ぶべし。継戦能力も欲しいから、火力を意識し過ぎて重量過多じゃダメだよ」


 ダガーやナイフを二本持って戦うとか、それはそれでロマンがあってカッコイイかもしれないし、純粋にその戦法にだって利点がある。


 けど、それはダンジョンに慣れて、ステータスを稼いだ後にやれば良い。


「ダンジョンは遊びじゃない。魔物って言う生き物と殺し合いをしなきゃならない場所で、お互いに命を賭け皿に乗せて全額ベッド(オールイン)()()()()の、凄惨なギャンブルなの」


 だから、アタッカーがまず選ばないとダメなのは勝ち方でも倍率(オッズ)でも無く、勝率。まず勝たねばならない。


 だって負けたら、死ぬから。


 全額ベッド(オールイン)ってそういう事だ。


「だから、蒼乃フラム式初心者武器選びはこうなります」


 私はかなり勿体ぶった後、やっと二人に武器候補を見せた。


 まず第一位が『槍』。一位って言うか、もうコレで当確だよねってくらいプッシュする。


 槍は良い。凄くいい。私も斧ちゃんに出会わなかったら多分、槍信者だった。


「習熟すれば巧みに使えて、初心者でも間違いなく一番簡単に使える武器であり、更にリーチが長い。利点しかない。選ばない理由が無い。私も斧ちゃん拾う前なら槍が欲しかった…………」


 槍の利点。「両手に持って前に突き出す」。たったコレだけで立派な攻撃になるし、敵にそれが当たるか否かは置いといて、攻撃に失敗しない事がかなり大きい。


 刀剣は刃筋を立てないと斬れない。ハンマーも振り被らないとダメージに成らない。


 そんな中、「えいやっ!」と前に突き出すだけで武器形状から見て最適な攻撃足り得る槍は、初心者はもうみんなコレで良いやんってレベルで使いやすい。


 狭い場所では使いにくいとか良く言われるけど、前に突き出すだけならまったく関係無いし、なんなら狭い場所なら槍の突き出しを避けづらいからむしろプラスだ。


 槍の横薙ぎなんて、もっとダンジョンアタックに慣れた玄人になってからやれば良い。


「という訳で、私は二人に槍をプッシュします。猛プッシュします。初心者は槍使っとけばええねん」


「お母さん、てっきり斧を勧められると思ってたわ」


「まおも…………」


「いや、斧って結構難しい武器だからね? 私だって、八層で拾ってから習熟するまで、徹底的に使い込んでたんだから」


 そう、斧って難しいんだよ。重量武器だからハンマーと同じで振り被らないとダメージにならないし、下手に刃が付いてるからハンマーよりもインパクトが難しいし、そして当たり前だけど重いから扱いづらい。


 その分慣れたらめっちゃ強かったんだけどさ、初心者には最初から斧を勧めたくない。


「まぁ、槍を使うかはまた後でね。他にも勧める武器は有るし、防具も買うし」


「優ちゃん、お手柔らかにね?」


 お手柔らか? ははっ、まさか。命懸けで、いや命賭けで挑むダンジョン攻略の準備ですよ? 厳しく行くに決まってるじゃん。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ